月商900万円超を売る新宿御苑前『べっぴんしゃん』と中目黒『ちかっぱ堂』。小皿料理が今熱い!
350万円を投じた器が商品価値を高める重要アイテム
『べっぴんしゃん』のフードメニューは「魚」「焼」「煮」「佐賀なかむら牛」「〆」など9カテゴリーで計32品をラインアップ。メインは1グラム当たり45円で量り売りする佐賀なかむら牛ヒレ肉の鉄板焼きだが、この「佐賀なかむら牛」と「〆」の5品を除き、メニューは小皿料理で構成されている。
もちろん、小皿料理はただ居酒屋料理の商品サイズを小さくしたわけではない。商品価値を高めるためにさまざまな工夫を施していることがその商品設計の注目点だ。
そのために欠かせないアイテムが食器。『べっぴんしゃん』では350万円を投じて食器を購入しており、『ちかっぱ堂』ではさらにそれを大きく上回る600万円を食器購入に投じた。
「私が商品開発で意識しているのが、料理を口にする前にお客さまの期待値をどれだけ上げられるかということです。料理のおいしさの判断は8割以上が視覚情報に頼っているという研究結果もありますからね。期待値を上げ、満足度の高い料理を作るため、商品ごとに異なる食器を使用しています。時には食器から発想を得て商品を開発することもあるんですよ」(山本社長)
肉料理と魚料理の名物メニューが売れ筋の1位、2位
では、具体的に商品づくりのポイントを見ていこう。
小皿料理の売れ筋1位は「黒毛和牛とネギすき焼き」(1,320円)。こちらの器は牛肉となじむ上、焼きネギと卵黄が映えるといった見立てで作家物の四方鉢をチョイスしている。
一方、魚料理の名物メニューである売れ筋2位は、福岡名物の胡麻鯖をアレンジした「天然平政胡麻和え」(660円)。こちらには胡麻ダレの赤みが引き立つ織部焼の鳳凰彫り5寸皿を合わせた。
器の活用によって商品価値を格段に高めたメニューが「花畑牧場焼きカチュカパロ」(528円)だ。イタリア南部のチーズ・カチュカバロに海苔を取り合わせるのもユニークだが、それを盛り付ける器の形状、色彩も独特。八角高台盛皿にのせることで、平たい盛り付けの商品に立体感を加え、さらに白いカチュカバロ、黒い海苔、赤いトマトソースが映える仕掛けになっている。
