東京進出でも月商1,300万円。ニュータイプ大衆酒場『フレンチマン』、三拍子揃う料理で快進撃!
写真左は総料理長の吉丸清孝氏、同右は代表の渡辺哲也氏。渡辺氏は「26歳で独立してからたくさんの店をつくってきたが、業態開発の視点が『やりたい店』から『求められる店』に徐々に変化してきた」と語る(画像提供:らくちん)
『大衆酒場 フレンチマン』は意図せずに完成した大ヒットコンセプト
『大衆酒場 フレンチマン』を運営する有限会社らくちんは2001年創業の居酒屋企業だ。代表の渡辺哲也氏は「『大衆酒場 フレンチマン』は意図せず完成した大ヒットコンセプトなんです」と話す。
『大衆酒場 フレンチマン』は創作串焼きなどフランス料理のエッセンスを注入したオリジナルメニューを提供する大衆酒場だが、実はゼロから開発された業態ではない。
『フレンチマン』シリーズの誕生は大衆酒場業態を開発した5年前の2015年7月までさかのぼる。同社総料理長の吉丸清孝氏がシェフを務める『ビストロ フレンチマン』を京都府京都市のJR京都駅近くにオープンしたのが始まりだ。2017年4月に同社が京都・四条烏丸に飲食店集合施設「室町横丁」を一括開発した際、同施設内に小皿料理とワインの店『フレンチマンJr.』をオープン。そして、新大阪駅駅ナカ施設からの出店誘致に伴い、開発されたのが『大衆酒場 フレンチマン』だった。
渡辺氏は当時をこう振り返る。
「新大阪駅の施設利用客は新幹線の出発待ちをするお客さまが中心。さくっと立ち寄れる大衆酒場スタイルがマッチするという考えから、『フレンチマンJr.』を進化させ、創作串と小皿料理をフードの2本柱にした『大衆酒場 フレンチマン』を開発したところ、緊急事態宣言が解除されるたびに大売れしたんです。26歳で独立をしてからさまざまな居酒屋を手掛けてきましたが、これほどの手応えを感じたことはありませんでしたね」
オリジナル性、機能性、効率性の3拍子揃ったメニュー
そこから快進撃がスタートしたわけだが、なぜ『大衆酒場 フレンチマン』がこれほどまでに大ヒットしたのか。まず総料理長の吉丸氏が開発しているフードメニューの商品力は大きいだろう。大衆酒場化されたフランス料理のオリジナル性に加え、メニューの機能性、オペレーションの効率化の三拍子が揃っていることが桁違いの売上を生み出すキーになっている。
『大衆酒場 フレンチマン』は7~13坪の小型店と15~20坪の中型店の2タイプに分かれる。タイプ別にメニュー構成もやや異なるが、たとえば5坪20席の小虎小路店であれば串焼き8品、小皿料理13品など4カテゴリー計35品をラインアップしている。
串焼きの売れ筋は「牛タン+大根コンソメ煮串 わさびクリームソース」(462円)や「鴨フィレ+生ふ串 上海肉みそソース」(429円)。その商品設計で特筆されるのが、「肉+野菜類」の串焼きにしていること、さらに商品それぞれに異なるソースを合わせてメニューの個性化を図っていることだ。
「牛タン、鶏モモ肉、豚バラ肉などとさまざまな肉を使用し、それに合った野菜を組み合わせることにより、品数が少なくてもメニューバリエーションを広げることを狙いました。これは肉のみの串焼きよりも原価を抑えられる一石二鳥の工夫。ソースもメニューの個性化に加え、味加減が難しい塩と違って味がブレにくくなることもポイントです」(渡辺氏)

写真左奥から時計回りに、「うずらベーコン+プチトマト串」(341円)、「つくねのブルーチーズ」(495円)、「豚バラ+ズッキーニ串」(396円)、「鶏レバーの赤ワインたれ焼」(462円)、「鶏もも肉+白ネギ串」(363円)、「牛タン+大根コンソメ煮串」(462円)
