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東京進出でも月商1,300万円。ニュータイプ大衆酒場『フレンチマン』、三拍子揃う料理で快進撃!

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単品原価率50%の二大名物が集客のフック

渡辺氏は「1本単位で注文できる串焼きは食べる量や予算をコントロールしやすく、大衆酒場としての機能性を高めるアイテム」とその利点についても説明するが、その点は小皿料理にも共通するポイントだ。

「タコ足のガルシア風」(572円)や「ホタテの冷製茶わんむし」(451円)など小皿料理はカウンター上に設置された冷蔵ショーケースに陳列しているため、注文後1分以内のクイック提供が可能。「浅漬け風ピクルス」や「チーズキャロットラペ」(各198円)などボトムプライスを100円台に設置することで値頃感を出しているが、小ポーションのため、原価率も低く抑えられる絶妙な商品設計になっている。

写真手前から時計回りに、「タコ足のガリシア風」(572円)、「ホタテの冷製茶わんむし」(451円)、「浅漬け風ピクルス」(198円)

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また、二大名物メニューを用意している点も集客パワーを大きく増幅させている。

全店共通の名物メニューが「うにとイクラの冷製パスタ」(3,278円)だ。カッペリーニにたっぷりのウニとイクラを盛り付けた目にも鮮やかな一品だが、その単品原価率は50%。「小虎小路店が苦戦している時に全メニュー食べ放題のオーダーバイキングを導入しましたが、この商品に注文が集中しました。店に行列ができ、認知度アップにはつながったものの、トータル原価率が70%に達し、ほぼ利益が出ないということもありました」と渡辺氏は苦笑する。

「うにとイクラの冷製パスタ」(3,278円)は単品原価率50%の目玉商品。1人前サイズ1,408円も用意している

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もう1品は肉料理の名物メニューだが、こちらは店ごとに商品が異なる。新大阪店は「リブロースステーキ」(1,980円)、大阪第三ビル店は「フォアグラとローストビーフ」(1,408円)、小虎小路店は「つゆだくローストビーフ」(2,420円)、渋谷サクラステージ店は「ジョアキーノ ロッシーニ」(2,189円)。いずれも50%超えの目玉商品揃いであり、「大阪では名物メニューを目的に各店を回るお客さまもいる」(渡辺氏)という。

小虎小路店限定の名物メニューである「つゆだくローストビーフ」(2,420円)。リヒートしたローストビーフとフォアグラ、野菜を盛り合わせ、仕上げにパルメザンチーズを削りかける

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クイック提供、コックレスの仕組みを備えたメニュー構成

一方、中型店の渋谷サクラステージ店のフードメニューは串焼き10品、小皿料理8品、野菜料理8品など6カテゴリー計54品と小虎小路店よりも品数を150%拡充。これにより、「ちょい飲みニーズ+1品」のニーズも吸引している。

注目したいのが、これだけの商品数を揃えながら、コックレス化の仕組みを整えている点だ。串焼きに使用するソースはセントラルキッチンで一括加工。名物の肉料理や串焼きの肉も加工済みまたは半加工済みの状態で店舗に納品され、注文後にリヒートする形を採っている。

渋谷サクラステージ店のオリジナル串2本。左から「さつまいもクリームチーズ」(365円)、「うなぎと山芋」(418円)

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「串焼きの再加熱にはスチームコンベクションオーブンを使用し、注文後の調理時間を1分以内に抑えています。『うにとイクラの冷製パスタ』も冷製ということがポイント。フライパン調理によるムラを防ぐことができ、カッペリーニですから茹で時間も短く済ませられるわけです」(渡辺氏)

アルコールは412円をボトムプライスに設定し、グラス16種を揃えるワインがメニューの柱だ。ワインや12種を揃えるビール・サワー・ハイボールなどの品揃えは全店共通だが、小虎小路店では割材の缶をグラスに刺した「バックドロップ式カクテル」4種、渋谷サクラステージ店ではビールの素を炭酸で割った「ビアボール・スパークリング」7種などを用意。アルコール売上比率は小虎小路店では25%、渋谷サクラステージ店では32%を確保している。

アルコールはワインがメニューの柱で、グラス16種418円~、ボトル18種をラインアップ。写真右端は「仏男オレンジ」638円、右から2番目は「仏男の林檎ハイボール」(495円)

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。