月商450万円の北千住『ジャギ飯店×蒸気怪人煙管』。店舗統合で経費の大幅削減を実現!
東京・北千住に『ジャギ飯店×蒸気怪人煙管』という、謎めいた店名の創作アジアン酒場がある。元々は、2店舗を別々に展開していた。まず、北千住駅東口でネオ町中華『ジャギ飯店』が、2022年12月にオープン。月商500万円を売り上げ、2024年6月には同西口に、中韓ミックスの創作料理が主体の2号店、『蒸気怪人煙管』を開店させた。
ところがわずか2か月後、同年8月から2号店を『ジャギ飯店×蒸気怪人煙管』の店名に改め、合同営業という形で、新たな船出を迎えたのだ(旧『ジャギ飯店』は9月末に閉店)。店のInstagramによると理由は「人手不足」とのことだが、一体何が起きたのか……。その真意と経営戦略を探るため、店主・元木健太氏(37歳)を取材した。
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不幸中の幸い? ハイブリッド形態へリニューアル
早速、合同営業の経緯について問うと、元木氏は「あまり表立って話すことでもないんですけど」と前置きし、バツが悪そうに話し始めた。
「単純に“人の問題”が出てきました。2店舗展開の準備段階で、新たに『ジャギ飯店』の料理人を募集し雇ったのが、中華料理歴40年超の方。最初は良かったのですが、徐々に真剣になり過ぎて、ほかの若いスタッフとの温度差がものすごく出てしまい……、揉めた結果、3か月ほどで4人くらいが辞めてしまいました。途中から2号店のスタッフも充てていたので、内部が本当にぐちゃぐちゃになって。このままでは共倒れしてしまうと思い、片方だけ店を閉めることにしました」
それで仕方なく旧『ジャギ飯店』を畳み、主因となったベテラン料理人も解雇した。屋号を残したのは、飲食業未経験の元木氏が一から立ち上げた思い入れもあるが、戦略的な狙いも。旧『ジャギ飯店』についていた客を、そのまま引き込むためだ。
卵黄をのせた看板の「金玉黒炒飯」をはじめ、酢の酸味がクセになる「夜露死苦~ジャギ麻婆豆腐」(1,089円)などの人気メニューも流用。唐揚げや豆苗などのピリ辛炒め「中国4000年炒め」(1,199円)、「麻婆トッポギ」(1,089円)といった『蒸気怪人煙管』のメニューと合わせ、1店舗で両店の料理を楽しめる異色のハイブリッド形態に。現在は数を絞って、約50種のメニュー数に落ち着いた。
人員整理には想定外の影響もあった。本来は無休なのだが、現在は店を円滑に回すため、月に5、6日の不定休を取らざるを得ない。結果、客足自体は変わらないが、月商は400~450万円を推移。旧『ジャギ飯店』時代よりも売上は落ちている。
それでも元木氏は、「自分的には合同営業にして良かった」とプラスに捉える。理由は、利益率が格段に上がったから。賃料は旧『ジャギ飯店』の21坪・62万円から、現店舗になり14坪・35万円と約半分に。また、居抜き店舗でキッチンが無駄に広かった前者は、オペレーションの問題から、社員2人を含め常時スタッフ4人で回していた。片やコンパクトな現店舗は平日3人、週末4人で回せる。しかも、厨房に入る元木氏以外は全員アルバイトだ(近々、社員2人を採用予定)。これで賃料+人件費が大幅削減へ。
「今の人件費は経費全体の27~28%くらい。旧『ジャギ飯店』時代が正直、丼勘定だったのですが、賃料を含めた経費は少なくとも月50万円以上は減っていると思います」
不測の事態が起き、マイナスから始まった合同営業だが、現在の回転数は平日1.5回転、週末は2.5回転。週末に至っては、ほぼ予約客だけで満席が続く。「月商600万円を目標に掲げている」と、元木氏は前だけを見据える。
