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坪月商54万円の『錦糸町ジンギスカン オクノ羊ヤ、』。異業種参入でも成功できた“効率術”

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カウンター6席、2名掛テーブル2卓、4名掛テーブル2卓、5名掛テーブル1卓、6名掛テーブル1卓で構成

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部位ごとに味わえる「生ラム」とパクチー、スパークリングワインが名物

まず飲食未経験のアクセットが頼ったのは、インターネットだ。ジンギスカンの肝となるラム肉も「自分たちで調べて5~6社問い合わせをして、その中から良いものを仕入れることができました」と振り返る。

メニューの開発については、札幌の有名店だけでなく東京のジンギスカンを30店ほど食べ歩いてリサーチした椎名氏。その中で良いと思ったアイディアを、お店のメニューに反映させた。

タレは札幌のさっぱり柑橘系ではなく、ドロッとした白米やお酒にも合う味噌を隠し味にした特製ダレを外注。さらに「ヒレ」「タン」「ハツ」など、部位ごとに楽しむ焼肉のように羊肉を部位ごとに提供することとした。

この生ラムに掛け合わせたのが、「パクチー」と「スパークリングワイン」だ。このほかにもラムのレバーペーストなど、ワインに合うようなバルメニューも取りそろえ、従来のジンギスカン店とは違った楽しみ方を提案する戦略を取った。

手前中央から時計回りで「羊ヤ、セット」(2,178円)、「ラムチョップ」(1グラム10円)、「Wパクチー」(418円)、「樽出しスパークリングワイン」(547円)、お通し代385円で食べ放題の「∞ナムル」

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「モバイルオーダー」「仕込みの工夫」など利益を生む3つの効率術

同店には客単価を確保し、利益を出すための工夫が3つある。その1つがファーストオーダー制だ。生ラム、ラムタン、ラムランプに野菜盛り合わせ3種がついた「羊ヤ、セット」もしくは「生ラム肉」(一人前748円)の人数分オーダーをルールとして設けた。目論見通りほとんどのお客がセットをオーダーしているという。このセットとお通しのオーダーで、原価率は約25%となる。一方でドリンクは原価率が約37%。メニューの中で原価のバランスを取っている。椎名氏が「自分だったら頼みたい料理は何かを考え、メニューを作っていった」そうで、結果的に想定通りの客単価5,000円に着地させた。

2つ目が、オープン当初から導入しているLINEのモバイルオーダーだ。モバイルオーダーとは、手持ちのスマートフォンでQRコードを読み込み、お客自身でメニューをオーダーしてもらうサービス。LINEのモバイルオーダーのコストについて椎名氏に尋ねると「レジ機能やメッセージ機能を含めて月5万円程度のコスト。これにより一ヵ月あたり、一人分の人件費(約20万円)が削減できていると思います」といい、コストの削減とオペレーションの効率化に大きく寄与していると話す。

3つ目が、営業中の調理負荷を下げ、ロスを出さないメニュー展開だ。各テーブルには炭火の焼き台を置き、肉や野菜はお客自身が焼くセルフスタイルが基本。それ以外のメニューも仕込みをしておくことで、営業中は切って盛るだけ、温めるだけ、茹でるだけなど手間がほとんどかからない。

「外注先にもロスが出ないよう、誰でも作れるメニュー開発をお願いしました」と野村氏が話す通り、最近はアルバイトでも対応できる簡単な調理のみになったという。その結果、28席の店舗だが平日4人、休日5人のスタッフで営業をこなせている。

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2025年02月13日 15時20分03秒
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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経て2017年よりフリーライター&編集者として活躍。『食べログマガジン』『Web LEON』『Numero.jp』などで、グルメや旅記事を執筆中。