続く深刻な米不足で『てんや』『平田牧場』ごはんの無料おかわりを休止中。国は備蓄米放出へ
2024年に引き続き、2025年も米の流通が滞っている。米の仕入れ業者によれば、米の確保そのものが難しくなってきており、品薄による価格高騰が続いている状況にあるとのこと。
きっかけは2024年8月8日に気象庁が発表した「南海トラフ臨時情報」だ。災害に備えて消費者による米の買い占めが起こり、スーパーなどの店頭から米がなくなった。品不足が価格高騰の呼び水となり、未だ一向に落ち着く気配がない。
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米の価格はどう推移している?
農林水産省によると、1等米の年度平均価格は2024年9月に過去最高となる2万2,700円でスタートし、年末には2023年度平均の1.5倍以上にのぼった。
また、全国およそ1,000のスーパーにおける平均店頭価格が、2025年1月27日から2月2日までの1週間では5キロあたり3,688円となり、前の週より38円、前の年の同じ時期に比べると1,665円(82%)値上がった。生産者や仕入れ業者の間では、米の価格はこの先も高止まりするという見方が強くなっている。
おかわり無料の廃止やメニューの値上げなど、分かれる外食各社の対応
米不足は外食産業にも大きな影響を及ぼしている。仕入れ価格の高騰により、天丼チェーンの『てんや』では、2024年11月にごはんのおかわり無料サービスを終了。とんかつなど豚肉料理の『平田牧場』でも2024年9月からおかわり無料サービスを休止し、50円の追加料金制としている。
一方で、ごはんのおかわり無料サービスを継続するチェーン店が多数派であることも現状だ。『とんかつ和幸』『やよい軒』『吉野家』『松のや』『宮本むなし』などは他メニューの値上げでコストをカバーし、おかわり無料サービスを維持している。
農林水産省や全農によれば、外食企業が農家と直接米の仕入れを交渉するケースも増えているというが、今後も長期的に米不足が続くようであれば各社の対応も変わらざるを得ないだろう。飲食店からおかわり無料の文字が消える可能性も十分にある。
農林水産省は「できるだけ早く」備蓄米放出を決定
この状況を打開すべく、農林水産省は政府の備蓄米をできるだけ早く放出する考えを示した。国はこれまで深刻な不作や災害時などに限って米を市場に放出するとしており、流通の円滑化を目的に放出されるのは今回が初めてのケースとなる。
江藤農林水産大臣は、2月14日の入札にて備蓄米21万トンを市場に放出する方針だと公表。3月半ばには集荷業者への引き渡しが始まり、3月下旬頃に消費者の手元に届くと予想される。一方で、放出した米は売り渡した集荷業者から原則、1年以内に同じ量を政府が買い戻すことを条件としているため、米不足の解消は今後の収穫量や流通の状況によっても左右されそうだ。
