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坪月商63万円『青山一丁目たぬき』。大衆酒場“未開の地”、それでもStyLe社が勝つ理由

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株式会社StyLe代表取締役石川瑛祐氏

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地下鉄銀座線と半蔵門線、大江戸線が乗り入れ、赤坂からも程近い青山一丁目駅。オフィスビルや高層マンションが立ち並ぶエリアだけに居酒屋のニーズはありそうだが、周辺にはほとんど見当たらない。

そんな青山一丁目駅から外苑東通りを3分ほど歩くと、都営南青山一丁目アパートの1階に光るネオンが見えてくる。2022年11月にオープンした、大衆酒場『青山一丁目たぬき』だ。

坪月商63万円を叩き出す、この超繁盛店を手掛けるのは株式会社StyLe(東京都渋谷区)。創業から10年、すさまじいスピードで多彩な飲食店を展開し、現在その数は約80店舗にのぼる。年商50億円を売り上げる同社の代表取締役・石川瑛祐氏にその戦略を聞いた。

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FC加盟、M&A、自社出店……、やれることは全部やり「血肉を増やす」

石川氏は28歳までフリーターをした後、数々の人気店を手掛ける株式会社subLimeに入社して経験を積み、起業した経歴を持つ。起業してからの10年間を「飲食の仕事を本気で始めたのはsubLimeに入社してから。起業した頃は経験が十分だとは言えなかった。だから、やれることは全部やってきた」と振り返る。

例えば、FC加盟店としての出店だ。

subLimeにいた頃は、主要駅ではなく中間駅、それでも人通りがあり集客が見込める場所に出店する、いわゆる「二等駅の一等立地戦略」を学んだ。居抜き物件、かつ低家賃の物件を借りることで低投資で出店し、大きく売り上げられなくてもそれなりに利益が成立する方法だ。

起業後はこれとは違う経営手法を学ぼうと『肉汁餃子のダンダダン』のFC加盟店を出店。石川氏は「飲食の経験がさほどない自分にとっては、他社のノウハウはお金を払ってでも勉強したいことでした。『ダンダダン』から提供されるマニュアルを見ながら、“こういうやり方だとこういう効果があるのか”と、そのノウハウは現在でも自社に活かしています」と当時を振り返る。

入り口そばのカウンター。店内はスタイリッシュながら大衆酒場らしい落ち着く雰囲気(写真提供:『青山一丁目たぬき』)

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M&Aにも挑んだ。果敢な経営者に映る石川氏にとっても、「M&Aは知らない何かが起こるんじゃないかと、怖さもあった」という。

初めて話があったのは、鹿児島県にある『鹿児島ラーメン 我流風』。魅力ある案件だったものの、東京からも遠い未知の地でのマネージメントには不安があった。しかし、「東京で似たような好条件の案件があったとしても諸先輩方に先を越されてしまうだろう。距離が遠いからこそ自分が関われるわけで、これをチャンスととらえよう」と、距離という「一癖」をプラスに転じ、経営に乗り込んだ。

鹿児島にアパートを借りて指揮を執り、その後、店舗数を着々と増やす。現在はアルコール業態の店舗も展開している。「うちがこれまでM&Aしてきたのは、いいお店、いい会社を引き継いだものばかり。運営しながらそのノウハウが手に入り、かつ人もついてくる」とメリットを語る。

FC加盟、M&A、自社出店を通じてトライ&エラーを繰り返し、「血肉を増やしてきた」と語る石川氏。

「短期間で勢いよく出店できた秘訣と言えば、勉強しながらやれることは何でもやってきたことです。スタートが人よりも遅かった分、気合いでチャレンジしてきました」

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神田えり子

ライター: 神田えり子

ライター・料理家。広告営業、料理教室講師を経てフリーのライター・料理家に。旬の野菜を使ったおばんざいが得意。食まわりの執筆のほか、レシピ開発、フードコーディネーター、イベントやメディア出演などの活動をしている。趣味は散歩、ときどき観劇。