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下北沢『Et』と考える、第4次コーヒー時代の「カフェとバリスタの未来」

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日東興業株式会社の新規事業部門「SCENIIUS」ブランドマネージャー・磯辺舞さん(右)と、バリスタ兼トレーナー・石橋幸大さん(左)

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日本におけるサードウェーブコーヒーブームの立役者『ブルーボトルコーヒー』の上陸から2025年2月でちょうど10年。そんな節目を目前にした昨年末、下北沢駅前にオープンしたカフェ『Et -THE CULTURAL COFFEEHOUSE-(エト ザ・カルチュラル・コーヒーハウス)』が、コーヒー業界に新たな風を吹き込もうとしている。近年は個人のバリスタが小規模な店を構えるケースが増える中で、『Et』が挑むのは多くの人を巻き込んだ大型の店づくり。ブランドマネージャー・磯辺舞さん、バリスタ兼トレーナー・石橋幸大さんに話を伺い、これからのカフェとバリスタの在り方について考えた。

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建物の1〜2階を贅沢に使った、開放的な造りは圧巻

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文化を築く“社交場”を現代のスタイルで 。『Et』が提案する第4次コーヒー時代

昨年12月、2024年最後にして最大の注目カフェとして、下北沢に彗星のごとくオープンした『Et』。「Et」とはラテン語で「〜と(=&)」を意味し、自然、人、カルチャー、アート、食など、魅力あるそれぞれを他とかけ合わせることで、新しい価値や文化を創造し、未来へつないでいくことを目指すカフェブランドだ。

コンセプトどおり、『Et』の至るところにはユニークなアプローチが見て取れる。コーヒー文化の第4の波へと挑むシグネチャーメニューは、蒸留技術を取り入れた新発想のフレーバーラテ「ブルームラテ」。他にも、旬の食材をかけ合わせることで最大限に季節素材を味わえる各種タルティーヌや、独自の視点で選び抜いたペイストリーなどをラインアップし、ブランドビジョンを見事に具現化する。また、テーブルウェアやグラスには主に、1/fのゆらぎから着想を得た、一点ずつ表情の異なる作家の作品を採用。自然、生産者、作家、建築家……、これらを『Et』がキュレーションしてつなぐことで、単体では成し得ない新たな価値を創造しながら、同時に『Et』を形作ろうというのだ。

店舗デザインは瀬戸内海の海辺の砂浜や洞窟などからインスパイア。できる限り自然を感じる素材を取り入れる

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「『Et』を通して私たちが目指すのは、『居場所づくり』です。ここがあらゆる人にとって心安らぐ場所になることを願っています」

そう話すのは、同店を手掛ける岡山県の日東興業株式会社の新規事業部門「SCENIIUS」でブランドマネージャーを務める磯辺舞さん。様々なことがオンラインや遠隔でできるようになり、自宅やオフィスの存在意義が見直される中、それでも、人間が物理的な“肉体”を持つ以上「居場所の価値は普遍的なものだ」と磯辺さんは語る。

「お客さまはもちろん、スタッフにとっても心地よい居場所でありたい」(磯辺さん)

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「『居場所』とは、単なるスペースではありません。かつて、カフェには芸術家や政治家などが集い、互いに議論を交わし想いを分かち合うことで文化・文明を育んできました。異なる者同士が交わる“文化的社交場=コーヒーハウス”こそ、カフェ、そして居場所の本質。それを現代に落とし込んだのが『Et』です。私たち『Et』が架け橋となってコーヒーや食材、器、音楽、デザインなど、熱量あるつくり手たちの想いを新たな価値へと昇華させ、これからのカフェの在り方としてお客さまに提供していきたいと思っています」

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RIN

ライター: RIN

カフェライター・エディター。街の小さな一軒からトレンドカフェ、昔ながらの喫茶店まで、カフェという場を通じて幸せを提供してくれる人の声と熱を届けるのが好き。ライフワークは"スコーンの人"(IG:@rin_125)。