飲食店ドットコムのサービス

パート賃上げ額は過去最高を記録も、『スシロー』スト破りなど、非正規春闘は道半ば

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

画像素材:PIXTA

画像を見る

流通や外食、繊維などの労働組合が加盟するUAゼンセンが3月19日、パートの賃上げ率が6.37%(時給73.8円相当)と10年連続で正社員を上回り、過去最高の賃上げ額を記録したと発表した。

>>飲食店“専門”の求人サイトだから即戦力が見つかる。社員とアルバイトまとめて19,800円で掲載可!

パートの賃上げ率が10年連続で正社員を上回る。雇用形態の格差に是正の兆し

2025年春季労使交渉は、3月18日に第2回集中回答日を迎えた。正社員、短時間(パートタイム)、契約社員すべての組合において、要求に対する満額回答が相次ぎ、のべ198組合、合計約87万名の組合員に制度昇給やベースアップによる賃上げが決定した。

2025年は正社員組合員、短時間組合員ともに過去最高を記録した2024年に続いて同水準の賃上げ率を維持し、正社員組合員の賃金引き上げ分(ベースアップ等)は3.8%(12,237円)を記録。短時間組合員は6.37%の引き上げとなり、10年連続で正社員組合員を上回る賃上げ率を更新した。賃上げ額としては加重平均で73.8円と、前年同時期(70.3円、6.41%)を更新し、過去最高額となった。

同じく契約社員組合員についても、加重平均で5.15%(12,260円)の引き上げとなっている。賃上げ額としても前年を367円上回っており、正社員組合員以上の賃上げ率を記録した。以上のことから、雇用形態間の格差に是正の兆しが見える結果となっている。UAゼンセンは「2023年から続く物価上昇を上回る賃上げの流れを定着させたい」とし、各加盟組合は”早期・高水準”の賃上げ実現へ向けて動き出している。

画像素材:PIXTA

画像を見る

「ゼロ回答」によるストライキ渦中の『スシロー』。スト破りに波紋広がる

上記のような動きの一方で、非正規従業員に対し賃上げをしないとする「ゼロ回答」を行う企業もある。その一つである『スシロー』は、一部店舗で従業員ストライキが起こり、影響を最小限に抑える為に他店舗の社員を派遣するなどして対応に追われたが、この対応が「スト破り」と強く非難された。4月下旬には4回目の労使交渉が予定されているが、労働組合の回転寿司ユニオンは納得のいく回答が得られなければ「GW中のストも辞さない」とし、交渉の行方が業界に大きな影響を与えそうだ。

UAゼンセンによると、約190万人の組合員のうちパートや契約社員など非正規雇用の組合員は全体の約6割を占める。その一方で、社会全体における賃上げの動きは非正規雇用労働者に波及しにくいという傾向にあるのが実情だ。厚生労働省の発表によると、これらの背景には非正規雇用労働者の労働組合加入率の低さがある。労働組合によってはそもそも非正規労働者の加入資格を設けていないケースも多く、企業には雇用形態による格差の是正が求められている。これらの結果を踏まえ、今後の人材登用や社内制度の見直しの参考にしてはいかがだろうか。

この記事は役に立ちましたか?
はい いいえ
Pocket
follow us in feedly
飲食店ドットコム通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
飲食店ドットコム ジャーナルの新着記事をお知らせします(毎週3回配信)
路 真菰(みち まこも)

ライター: 路 真菰(みち まこも)

HR業界の制作ディレクター・ライターとして求人やインタビュー記事を執筆。フリーライターとして食に関わるメディアの記事執筆、料理雑誌のブロガー等としても活動。お酒を嗜みながらの料理が至福。自宅に飲食店舗を構えた“商い暮らし”を計画中。