「居酒屋以上、割烹未満」の進化形。売上&利益のWアップを狙う『三軒茶屋 虎徹』の秘策とは
『神泉たつ』の強みを残しながらメニューを居酒屋化
『神泉たつ』では1人前8,000円の「おまかせ十品」を柱にした割烹寄りのフードメニューを採用していた。これは料理の仕込みから仕上げまでを三木氏ひとりの手で完結できるようにすることが狙いだったが、そうした割烹クオリティの商品力を残しつつ、メニューを居酒屋化している点が『三軒茶屋 虎徹』の特色といえる。
フードメニューは「前菜」「揚・焼・煮」「温物・ご飯」など6カテゴリ計48品をラインアップしているが、三木氏はそのメニュー組みで「バランス」を強く意識したという。
たとえば、名物メニューのひとつとして投入した「名物になりたい!海老カツアボカド」(1,200円)は団子状のエビカツのうえにアボカドのスライスと香味野菜、タルタルソースをこんもりと盛り付けた料理。女性客の目を引く見映えがするメニューを用意する一方、「真鯛の幽庵焼き」(1,200円)や炭火で焼きあげる「季節の焼き野菜」(900円)など、調理がシンプルな料理も揃える。
ご飯物でも、『神泉たつ』の売れ筋だった「本鮪鉄火巻き」(2,000円)をメニューに残しつつ、小ポーションの「'小'撤カレー」(550円)をオンメニュー。酒のあても「梅水晶」(480円)や「お漬け物」(480円)のような定番商品にキュウリと西洋ワサビの千切りを巻いた「激カッパ巻き」(550円)といったオリジナルメニューを織り交ぜている。
居酒屋メニューは注文に迷うくらいの商品数がほしい
メニューの居酒屋化という点は商品数にも現れている。『神泉たつ』でもアラカルトメニューを用意していたが、その商品数は36品。それに対し、『三軒茶屋 虎徹』はメニュー数を48品に拡充した。
「商品数を絞り込んだ方が1品1品の商品クオリティを上げやすく、ロスコントロールもしやすいわけですが、幅広い商品を揃え、注文に迷うことも居酒屋の魅力のひとつだと捉えています。リピート客の飽きを防ぎ、来店頻度を高めるという点でもできるだけ商品数を多くしようと考えました」
もちろん、商品数が増えればオペレーションが煩雑化する。だが、そこは当然計算済みだ。「『神泉たつ』では『調理を魅せる』ことも付加価値のひとつとして捉え、ツーオーダー調理の割合が高い商品を中心にしていましたが、『三軒茶屋 虎徹』では『仕込み8割、仕上げ2割』の意識でレシピを考案し、注文ごとの調理負担を軽くしています」と三木氏は説明する。
