社員の定着率約8割! 門前仲町『ろくばん』流、「スタッフの心をつかむ店づくり」
人材不足が続く昨今、飲食店経営者は優秀な人材の採用だけでなく、優秀な人材の定着率向上も目下の課題だろう。特に規模の小さい飲食店であれば、従業員一人が退職するだけでも、ダメージが大きい。そんな中、創業時から18年続けるスタッフを含め、直近5年の社員定着率8割を超える企業がある。『大衆酒場ろくばん』(以下、ろくばん)をはじめ、江東区の門前仲町エリアで3店舗をドミナント展開する、株式会社杉六だ。同社代表の上杉大介氏に、厳しい採用市場の中、いかにしてスタッフの心をつかみ、定着率を高めているのか話を聞いた。
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門前仲町エリアの採用事情。「時給1,600円」の豊洲がライバルになる現実
2007年に創業し、『鶏・焼酎・泡盛 杉六 -sugiroku-(以下、杉六)』を皮切りに、『下町酒場 六傳(ろくでん、以下、六傳)』、『ろくばん』を送り出してきた株式会社杉六。都営大江戸線と東京メトロ東西線が乗り入れる江東区の門前仲町で、3店舗をドミナント展開しており、どのお店も満席が続く人気店だ。代表の上杉氏は江東区育ち、江東区在住。幼少期から慣れ親しんだこの地での、飲食店経営には強い思い入れがある一方で、都心部とは異なる人材確保の難しさに直面してきた。
「門前仲町という場所は求人的に、やっぱりなかなか難しくて。以前、東西線で1駅隣の茅場町でもお店をやっていたのですが、1駅違うだけで求人広告へのリアクションが全く異なります」と隅田川を境にした中央区との違いを打ち明ける。
人材確保に本格的に悩み始めたのは、コロナ禍以前からだという。特に門前仲町エリアは、「東西線で都心にアクセスしやすいため、千葉方面から働きに来る人も大手町など他の選択肢が多い。給与面でも、同じ江東区にある『ららぽーと豊洲』などでは時給1,500円~1,600円にも上ります。お客さまから下町価格を求められる門前仲町で、その条件の求人を出すのは正直厳しいんです」と、採用の難しさを吐露する。
