社員の定着率約８割！ 門前仲町『ろくばん』流、「スタッフの心をつかむ店づくり」
沖縄への社員旅行では泡盛メーカー『瑞泉酒造』の蔵見学をしたり、飲食店の視察や観光を楽しんだという（写真提供：杉六）
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完ぺき主義をやめ、スタッフの成長と独立も全力サポート。それが店の力になる
上杉氏は、スタッフの独立支援にも積極的だ。
「今の『六傳』の店長も『求人飲食店ドットコム』経由で入ってきてくれたのですが、当初から独立を目標に掲げていました。そのため独立準備について、お店の営業後に2時間くらい相談に乗ったりすることもよくあります。僕にできるのは、数値の管理や、融資の計画書作成など、自分が実際に作った資料を見せて、伝えることくらい。彼らに成功してほしいし、それが僕なりの業界への恩返しだと思っています」
このような姿勢は、一見すると自社の人材流出につながるようにも思えるが、上杉氏は「結果的にそれが、今のお店の良い雰囲気を生んでくれています。お互いにとってプラスになるんです」と明るく断言する。
評価制度については、明確な指標を設けるというよりは、日々の働きぶりや新しい取り組みへの意識、そして「お店の雰囲気がそのスタッフが来てからすごく良くなった、とお客さんに言ってもらえた」といった定性的な面も重視する。「利益がしっかり出れば、なるべく社員に還元したい」という思いから、毎月の売り上げ目標を達成した際、社員に対してインセンティブも払っている。
「以前の自分は昔気質で、人に対しても自分に対しても無駄に厳しかった。でも、時代と共に自分も変わりましたね。完ぺき主義をやめて、スタッフに裁量を与えて、自由度の高い働き方にしてから、スタッフも生き生きして、長くお店で働いてくれるようになりました。自分も前より働きやすくなりましたし、昔からの常連さんには『以前より表情が柔らかくなったよね』と言われるようになりました（笑）」
上杉氏の挑戦は、単に人気店を作ることだけではない。変化の激しい飲食業界で、いかに「人」を大切にし、スタッフが輝ける場所を提供できるかだ。下町のお店らしく、従業員に対しても人情が厚いお店は、結果的に繁盛する。この杉六の事例は、多くの飲食店経営者にとって、これからの店づくりを考える上での大きなヒントとなるだろう。
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『大衆酒場 ろくばん』
住所／東京都江東区門前仲町1-2-3 鶴田ビル1F
電話番号／03-6240-3664
営業時間／17:00～23:00（土曜16:00～22:00）
定休日／日曜、祝日
坪数・席数／12坪・34席
https://www.instagram.com/rokuban_monnaka/
