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飲食店も活用できる、東京都「年収の壁」対策奨励金とは? 内容と申請方法を解説

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東京都と公益財団法人東京しごと財団が、「年収の壁突破」総合対策促進奨励金の事前エントリーを受け付けている。この奨励金は、いわゆる「年収の壁」により就業調整をせざるを得ない人々が、希望通りに働ける環境を整備するために事業主を支援するもので、飲食店も対象となる。本記事では、この奨励金の概要や飲食店が活用するメリットを紹介する。

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奨励金は最大50万円。「年収の壁突破」総合対策促進奨励金の仕組み

この奨励金は、東京都と公益財団法人東京しごと財団が推進する「年収の壁突破」総合対策促進事業の一環だ。都内の中小企業事業主が、従業員の社会保険加入を促す手当を新設する、配偶者手当を見直すといった場合に交付される。主なコースと奨励金額は以下の通りだ。

社会保険加入促進コース:1事業主につき30万円
配偶者手当見直しコース:1事業主につき30万円 (両コースにエントリーする場合は合計50万円)

奨励金へのエントリー手順

奨励金の交付を受けるには、まず「年収の壁突破」総合対策促進奨励金のWebサイトからの事前エントリーが必須となる。令和7年度の事前エントリー受付は、2026年2月まで毎月(全10回)実施される予定だ。現在(2025年6月5日時点)、第2回の事前エントリー期間中で、受付は6月2日(月)午前9時から6月30日(月)午後5時までとなっている。受付終了後には抽選があり、当選すると交付申請に進むことができる。事前エントリーは1事業主につき1回のみだが、落選しても次回以降の募集期間に再エントリーが可能だ。

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奨励金を受け取るための主な要件

奨励金の交付には、各コースで定められた条件を満たす必要がある。

■社会保険加入促進コース
主に以下の2点が求められる。

1.非正規雇用者が負担する社会保険料を補助する手当の新設
2.社会保険に未加入の非正規雇用者1名以上の新規加入

■配偶者手当見直しコース
配偶者の収入によって支給額が変わる手当(配偶者手当)を設けている事業主は、以下のいずれかを実施する必要がある。

・収入要件の撤廃
・手当の他への振り替え
・基本給への組み入れ

さらに、両コース共通で、専門家による個別相談窓口を期間内に2回利用しなければならない。

飲食店がこの奨励金を活用するメリット

飲食店がこの奨励金制度を利用すると、多くのメリットが期待できる。まず、従業員が社会保険に加入しやすくなれば、年収の壁を気にせず働けるようになり、定着率の向上が見込めるだろう。

配偶者手当の収入要件を撤廃した場合は、従業員の配偶者が収入を気にせず働けるため、世帯収入の増加に貢献する。これは従業員のモチベーション向上や、ひいては店舗の生産性アップにもつながる可能性がある。事業主にとっては、奨励金の受給が経営改善の一助となる点も大きい。

改めて確認するが、この奨励金を得るには事前エントリーとそれに続く抽選での当選が不可欠だ。現在、第2回の事前エントリーを受付中である。落選しても再挑戦は可能なので、関心のある事業主は早めの行動をおすすめする。この制度を有効活用し、従業員がより安心して働ける環境づくりを進めてほしい。

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com