神田『かきのおきて』開業1年で坪月商90万円! 生牡蠣110円の牡蠣酒場が目的来店で大成功
「110円の牡蠣って大丈夫?」お客の不安を信頼に変える丁寧な説明
集客において大きな転機となったのは、SNSでの自然発生的な拡散だったと小林氏は振り返る。
「たまたまWebメディアのライターさんが来店されて、当日の夜中に記事が公開されて、SNSでも拡散されました。そしたら翌日、通常の20倍ほどの電話がかかってきて。Xでの投稿は、表示数が約100万回にも上っていました」
そこから次第に認知を拡大し、高い顧客満足度を積み重ね、口コミでまた評判が広がり、繁盛店となった。広告販促費としては、オープン時に一度だけ打った、Instagram広告のみだという。
とはいえ当初は「本当に110円で大丈夫なのか?」「鮮度は?」といった来店客の不安の声も少なくなかった。そこで、牡蠣についての丁寧な説明を徹底し、信頼を築いていったと話す。
「産地直送であることなどを含めて説明し、安く提供できることを伝えています。鮮度や衛生面で不安になる方もいらっしゃると思うので、しっかり殺菌洗浄していること、季節によって見た目が変化することなどを説明しています」
もう一つ、お客の安心材料となっているのが、国産カキフライ定食を1,300円~で販売する平日のランチ営業。昼からクオリティの高い牡蠣を提供し、お店自体への信頼感につなげる戦略だ。原価率は夜に比べて高く、利益はほとんど出ないが、近隣のビジネスワーカーへの認知度を高め、夜の来店へと促す。現在、ランチだけでも月間約360人が来店しているという。
食材原価はかけつつも、夜は2.6回転で利益を獲得。モバイルオーダーで効率化も図る
もちろん、110円の生牡蠣だけで利益を上げるのは容易ではない。「牡蠣以外のメニューも充実させることで、客単価を上げています」と小林氏。実際夜の客単価は4,000円ほどで推移しているという。
「メニュー数は多いようには見えるのですが、同じ食材を使って、レパートリーを増やしています」と、食材ロスを抑える工夫も。牡蠣以外の人気メニューとしては、「おでん大根の唐揚げ」など、目新しさのある商品も用意されている。
ドリンクも一般的な価格設定であり、他のフードメニューの原価を極端に抑えているわけではない。むしろ、「どちらかというと、原価をかけてる方だと思います」と話す。
利益を出せている理由は、回転率の高さだ。2時間制を取り入れており、夜だけで月間来店客数は2,000人以上。単純計算で、1日あたり夜だけで2.6回転、66人が来店していることになる。
また、来店時にお店の説明などは丁寧に行うものの、モバイルオーダーを採用し、オーダー人員を割くなどの効率化も見られる。注文の手間やオーダーミスを防ぐことも、回転率アップに寄与していそうだ。
