飲食店ドットコムのサービス

神田『かきのおきて』開業1年で坪月商90万円! 生牡蠣110円の牡蠣酒場が目的来店で大成功

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

「4〜6月の牡蠣は産卵前で身が大きい。6~8月は産卵期でミルクっぽい味わいになり、9~11月は透明度が増し、12~3月は再び身の大きさが回復していきます」と小林氏

画像を見る

「110円の牡蠣って大丈夫?」お客の不安を信頼に変える丁寧な説明

集客において大きな転機となったのは、SNSでの自然発生的な拡散だったと小林氏は振り返る。

「たまたまWebメディアのライターさんが来店されて、当日の夜中に記事が公開されて、SNSでも拡散されました。そしたら翌日、通常の20倍ほどの電話がかかってきて。Xでの投稿は、表示数が約100万回にも上っていました」

そこから次第に認知を拡大し、高い顧客満足度を積み重ね、口コミでまた評判が広がり、繁盛店となった。広告販促費としては、オープン時に一度だけ打った、Instagram広告のみだという。

各テーブルに、牡蠣についての不安を払しょくする説明書を設置

画像を見る

とはいえ当初は「本当に110円で大丈夫なのか?」「鮮度は?」といった来店客の不安の声も少なくなかった。そこで、牡蠣についての丁寧な説明を徹底し、信頼を築いていったと話す。

「産地直送であることなどを含めて説明し、安く提供できることを伝えています。鮮度や衛生面で不安になる方もいらっしゃると思うので、しっかり殺菌洗浄していること、季節によって見た目が変化することなどを説明しています」

もう一つ、お客の安心材料となっているのが、国産カキフライ定食を1,300円~で販売する平日のランチ営業。昼からクオリティの高い牡蠣を提供し、お店自体への信頼感につなげる戦略だ。原価率は夜に比べて高く、利益はほとんど出ないが、近隣のビジネスワーカーへの認知度を高め、夜の来店へと促す。現在、ランチだけでも月間約360人が来店しているという。

フードメニューは生牡蠣、焼き牡蠣、牡蠣の逸品、酒肴、冷肴、サラダ、揚げ物、おすすめ、あて寿司、手巻き寿司、麺飯、デザートで構成

画像を見る

食材原価はかけつつも、夜は2.6回転で利益を獲得。モバイルオーダーで効率化も図る

もちろん、110円の生牡蠣だけで利益を上げるのは容易ではない。「牡蠣以外のメニューも充実させることで、客単価を上げています」と小林氏。実際夜の客単価は4,000円ほどで推移しているという。

「メニュー数は多いようには見えるのですが、同じ食材を使って、レパートリーを増やしています」と、食材ロスを抑える工夫も。牡蠣以外の人気メニューとしては、「おでん大根の唐揚げ」など、目新しさのある商品も用意されている。

ドリンクは、生牡蠣との相性を追求して開発された神田店限定の「シードル」(732円)や、牡蠣のための日本酒(グラス半合611円~)が人気

画像を見る

ドリンクも一般的な価格設定であり、他のフードメニューの原価を極端に抑えているわけではない。むしろ、「どちらかというと、原価をかけてる方だと思います」と話す。

利益を出せている理由は、回転率の高さだ。2時間制を取り入れており、夜だけで月間来店客数は2,000人以上。単純計算で、1日あたり夜だけで2.6回転、66人が来店していることになる。

また、来店時にお店の説明などは丁寧に行うものの、モバイルオーダーを採用し、オーダー人員を割くなどの効率化も見られる。注文の手間やオーダーミスを防ぐことも、回転率アップに寄与していそうだ。

Pocket
follow us in feedly
飲食店ドットコム通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
飲食店ドットコム ジャーナルの新着記事をお知らせします(毎週3回配信)
中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経て2017年よりフリーライター&編集者として活躍。『食べログマガジン』『Web LEON』『Numero.jp』などで、グルメや旅記事を執筆中。