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若者が集う下北沢で“オトナ居酒屋”。『D-DRAGON』が狙う「セレカジ」ニーズとは?

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27歳で独立を果たした宮本潤一氏。不定期ではあるものの、今も店に立ち、トップとしてサービスの見本を示している

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「セレカジ」はコロナ禍を経て生まれた新たな価値観

そして、宮本氏が『D-DRAGON』の業態開発で意識したのが「セレカジ」というキーワードだという。セレカジは「セレブカジュアル」を略した宮本氏の造語だが、その意味を「手の届く贅沢、手軽なセレブリティ」と説明し、さらにこう続けた。

「コロナ禍を経て生まれた新たな価値観、それがセレカジです。コロナ禍以前は『コストパフォーマンスの高い店』=『安い店』という捉え方が主流でしたが、アフターコロナ期に移行して消費者は外食により目的性を求めるようになりました。客単価8,000円で地鶏の焼鳥と自然派ワインのペアリングが楽しめる店など、ファインダイニングのサービスをリーズナブルに体験できるような店を『コスパの高い店』と捉えるようになっており、そうした価値基準の源にあるのがセレカジのニーズだと考えているわけです」

専務の杉山一道氏は総料理長として各店のオープニングメニューを開発。各店の店長が店のテーマに沿って3か月ごとにメニューを改定する仕組みを採る

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「若者でも手の届く贅沢」を基準に設定した客単価6,000円

『D-DRAGON』は想定客単価を6,000円に設定しているが、これは「若者でも手の届く贅沢」(宮本氏)として導き出した数値だ。フードのメニュー構成についてもセレカジを強く意識したという。

フードは「DRAGON-龍-Recommend」や「-肉Main魚-」、「肉Sashimi」など13カテゴリ計44品をラインアップ

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フードメニューは350~2,890円をプライスレンジとして44品をラインアップ。『魚がし どまん中』などの既存店は焼霜や炙り、湯引きなどひと仕事を加えた刺身の盛合せが名物メニューだが、『D-DRAGON』はそれを下地にしながらよりご馳走感を増すために肉刺身を盛り合わせた「鮮魚と肉刺し5種盛り合わせ シモキタ盛り」(1人前1,380円)を名物メニューに据えた。

名物メニューの「鮮魚と肉刺し5種盛り合わせ シモキタ盛り」(1人前1,380円、写真は3人前)。5種盛りを謳いながら刺身4種、肉刺し3種の計7種を盛り合わせている

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その他には、「炙りカニ味噌の香箱甲羅」(1,480円)や「鰻とフォアグラの春巻き」(600円)といったご馳走感のある一品料理、「雲丹いくら」(700円)や「鰻と発酵バター」(500円)など高級食材を盛りつけたつまみ寿司を用意。そこに豚の角煮をアレンジした「ドラゴン肉の角煮シーニ」(1,800円)など遊び心のある商品を織り交ぜてヌケ感をプラスしている。

各店のオープニングメニューは専務の杉山一道氏が開発しており、それらの商品開発のポイントを次のように説明する。

「『魚がし どまん中』は刺身に生簀の活魚を用いるなど、ハイバリュー、ハイクオリティの商品がグループ店に共通する売りですが、そうした商品価値に加え、『D-DRAGON』で重視したのが『映え』です。外食店の販促手段としてSNSの重要性が高まりつつあり、特にセレカジ業態はSNSにおける情報発信力が高い。SNSマーケティングと結び付きが強いという点も業態開発、商品開発のアプローチが既存店と異なります」

豚塊肉をドラゴン肉に見立てた「ドラゴン肉の角煮シーニ」(1,800円)(画像提供:ジプシー)

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。