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“嘘のない面接” で定着率アップ。立川『炭焼き大』のプレジャーカンパニーに若き飲食人が集うわけ

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店舗は全120席。店内約35坪、テラス約20坪(テラスは夏季休止、9月再開予定)

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繁盛店を生み出す! 多様な業態とスタッフの定着

今回の取材先である『炭焼き大 立川グリーンスプリングス店』は、備長炭を用いた焼き鳥や炭火焼き、産地直送の鮮魚料理、季節のフレッシュオイスター、赤酢のシャリで握る寿司など、多彩なメニューが魅力。JR立川駅から徒歩8分の複合施設内、歩行者天国の並木道沿いという緑豊かなロケーションも強みだ。

「この店はファミリー層がメインターゲット。幅広いニーズに応えるメニューを揃えつつ、専門性の高いキッチンスタッフが活躍することで、ファミリーレストランとは一線を画す独自性を保っています」と行徳さん。

「お造り四種盛り合わせ」(2人前1,716円)。自家製ワイン塩を添え、味変のディテールにも差別化を図る

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料理、空間、接客の総合的なクオリティの高さが評判を呼び、週末はランチ3回転、ディナー2.5回転、日商120万円を記録する日もあるという。同施設内の『アジアンビストロDai 立川グリーンスプリングス店』はさらに好調で、ランチ4回転、ディナー3.5回転、日商140万円を達成。それでも「もっとアピールしなくては」と、行徳さんは高みを目指す。

料理人の洗練された所作が楽しめるオープンキッチン。開放的なテーブル席もニーズが高い

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基本的に店舗は無休営業だが、スタッフの働きやすさも重視している。労働時間は月120~200時間から選べる柔軟な制度を導入。行徳さんは、「結婚や出産後も働ける環境を整えたら、復帰する社員が増えました」と話す。

本部体制も強力で、マネージャーシェフ、ユニットマネージャー、ユニットシェフが現場をサポート。LINEを活用したクラウド型シフト管理サービス「らくしふ」で全店舗を一元管理し、店舗経験者で構成される管理本部、商品本部、営業本部が柔軟に支える。こうした体制の下、月8~10日の完全週休、夏季・年末休暇、誕生日休暇など、離職率低減に貢献する環境を整備してきた。

独自の教育制度とDXで飲食店の未来を切り開く

飲食店の成功は、採用だけでなくスタッフの成長が鍵となる。プレジャーカンパニーは、DXによる効率化と独自の教育プログラムで、スタッフのモチベーションとスキルを高めてきた。

「MVVは面接時に説明しただけでは十分ではありません。特に中途社員は理想とのギャップが生じやすい。だから、入社後に5回の研修を通じてMVVを浸透させます。その柱が、キッチンとサービスの『エイトアクション』という行動指針です」

エイトアクションは、お客への心遣いやもてなしを通じて自分も成長するための具体的な行動目標だ。会社が4つ、社員が4つを提案し、その目標達成のための行動をさらに8つ設定。マンダラチャートで可視化し、柔軟性を持たせたサービスを促す。「マニュアルで縛ると画一的になってしまう。自分で考える力を育てることが大事」と行徳さんは強調する。

エイトアクションのための思考整理ツール「マンダラチャート」

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DXの活用も積極的だ。タブレット型POSレジ「ポスタス」でオーダー効率化を図り、サービス時間を増やしてお客との接点を強化。原価管理は「インフォマート」と「ぴかいちナビ」を連携させ、日次原価を追跡することで、迅速な改善を可能にした。

「レジ締め作業は労働時間を増やす原因。DXで効率化できました」と行徳さん。毎月の評価面談、年12回の昇給機会、資格取得で月5,000円~3万円の手当を支給する「マイスター制度」など、さまざまな手法を取り入れ、スタッフの努力の成果を“見える化”してきたという。

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佐藤 潮.

ライター: 佐藤 潮.

ミシュラン三つ星店から河原で捕まえた虫の素揚げまで、15年以上いろいろなグルメ記事を制作。酒場系の本を手掛けることも多く、頑固一徹の大将に怒られた経験も豊富だ。現在、Webのディレクターや広告写真の撮影など仕事の幅が広がっているが、やはりグルメ取材が一番楽しいと感じている。