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大井町の人気居酒屋『立呑み8』が自社ビルで再始動! 移転までの苦難と新たな挑戦とは

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2階は外からもにぎわっている様子が見えるようガラス張りに(画像提供:H)

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8坪の狭小スペースを活かした自社ビルの挑戦

提案された駐車場は約8坪、旧店舗の半分にも満たない。狭くなるが、階層を増やせば可能性はあるかもしれない。エレベーターを設置するスペースは確保ができないため、階段で上り下りできる限界は……と考慮し、4階建て構造を思いついた。

「上層階を貸し出す案もありましたが、狭い分、どうしても店内を通り抜けなければ上に行けない。だったら3階、4階はわざわざ階段を上ってでも行きたくなるような、ストーリーのある空間にすれば勝算があるだろうと3階は完全予約制の個室、4階はシークレットなルーフトップバーを作ろうと考えました」

設計デザインはこれまで同社が展開する全店舗の内装を手がけた業者に依頼。限られた空間で、いかに動線を確保しつつ居心地が良い空間を作るか、何度も話し合い、5センチ単位でテーブルのサイズや通路の幅を調整する、天井を高くして開放感を演出する、壁の扉を付けて荷物置き場スペースを確保するなど随所に工夫を凝らした。

ルーフトップテラスにはラグジュアリーな雰囲気が漂う(画像提供:H)

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新店舗が完成するまでの期間、従業員の雇用も守らなければならない。そこで『H』の営業時間を18:00~24:00から朝4時までに延ばし、11:30~14:00のランチタイム営業も開始した。

「約1年半前に立ち退き要請を受けてから、工事予定が4か月延びてしまい、それに伴って新店舗のオープンも4か月遅れてしまいました。とにかく利益よりもスタッフ雇用を守り、乗り切るために必死でした。スタッフ全員と話し合い、ランチや深夜帯の営業は大変かもしれないが、数か月間だけ頑張ってほしいと頭を下げました。そうしたら、快く『4時までやりましょう!』と言ってくれるスタッフもいて。いろいろなことがありましたが、多くの人との信頼関係があったからこそ、19年間続けてこられたのだと感じています」

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河西みのり

ライター: 河西みのり

フリーランスで活動するライター&インタビュアー。現在はソーシャルメディアや業界紙など多岐に渡り執筆。飲食店取材からレシピ本の編集、お取り寄せカタログのコピーまで“食”にまつわる分野を得意とする。