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月商600万円を売る居酒屋『刻刻刻刻座』の“映え”戦略。センベロ街・赤羽で新たな魅力創出!

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「良い営業の8割は仕込みで決まる。藁焼きも開店前に熱を通しておくので、焼き台で火にかけるのは、ほぼ演出用です」(濱田氏)

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ハイブリッドなインターネット戦略で認知度アップ

『うらめし屋』のヒットを生んだ要因は、「SNS映えする料理を取り入れたこと」と濱田氏は分析する。その代表格が、目の前でイクラをのせる「溢れいくらの出汁巻」だ。『刻刻刻刻座』ではこれを、鉄板で焼き上げる「明太いくら出汁巻き玉子」(979円)としてアレンジ。鉄板を舞台としたライブ感あふれるパフォーマンスは、カウンター席の客を魅了する。名物の藁焼きもまた然り、主な客層である20代前半から30代前半の若者たちがSNSに投稿することで、自然な形の集客につながっているという。

合同会社GoZは、SNSマーケティングにも注力している。自社で店舗のアカウントを運用する一方、『うらめし屋』の火災という逆境の中で良好な関係を築いたインフルエンサーには、新規出店の際にプロモーション協力を無償で依頼。さらに、食べログ、ホットペッパーなどのグルメサイトも最大限に活用する。MEO(地図エンジン最適化)対策も組み合わせるなど、多角的なWeb戦略が相乗効果を生んでいるという。

「その結果、グルメサイトのページ閲覧数や予約件数が増え、『刻刻刻刻座』では予約でご来店されるお客さまが全体の半数くらいになりました。経営で一番大事な指標は『客数』。まずはお客さまにたくさん来てもらうことを最優先に考えています。一度軌道に乗せれば修正はいくらでもできますけど、客数の少ない店を立て直すのはめちゃくちゃ大変なので……。ですから開店後の3か月はコストを細かく気にせず、良い食材も積極的に使います。平均原価率は35%弱くらいです」と、濱田氏は包み隠さず話してくれた。

メニュー数は約40品。調理の職人を雇っていないため、簡単なオペレーションで作れる料理で構成

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オープンから4か月、『刻刻刻刻座』の売上は右肩上がりで推移。客単価は4,000円に満たないものの、月商600万円・坪月商46万円(13坪)と着実に数字を伸ばしている。今後は、より利益率を高めるための調整段階に入る予定だ。ただし、適正原価率を求めるにあたり、「グレードを落とすやり方は絶対にしません。料理の味も見栄えもそのままに、使う食材をちょっと変えたりして、“綺麗なPL(損益計算書)”を描きたいなと思っています」と、濱田氏は言う。

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小林智明

ライター: 小林智明

埼玉県出身。情報誌の編集プロダクションを経て、2006年にライターとして独立。食、旅、スポーツ、エンタメなど多岐にわたり取材・執筆活動を展開中。グルメ取材はラーメン店を中心に計500軒を突破。好きなお酒は辛口純米酒。