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グルメ激戦区でも週末は最大4回転! 学芸大学『有縁』の“大人”を虜にする居酒屋のつくり方

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日本酒と相性の良い「羊焼売 大 成吉思汗仕立て」(1個600円)。地元ではおなじみ、ベル食品のジンギスカンのタレをお好みでかけるのもユニーク(写真提供:有縁)

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独立を見越して身につけた日本酒の知識

日本酒専門店での独立開業を早い段階で見据えていたという蝶野氏は、大学時代に日本酒への関心を深めたのをきっかけに、卒業後、横浜の『日本酒バル UMAMI』に入店。約3年間、調理と接客の両方をこなしながら日本酒の知識を幅広く身につけていった。

その後、独立に向けて「新店舗の立ち上げを経験し、マネジメントを学びたい」という思いから、カフェ業態をはじめ直営・プロデュースと幅広く事業展開している株式会社WATに入社。5年間在籍し、複数店舗の立ち上げやプロデュースを経験した。

そして独立前の総仕上げとして、『並木橋なかむら』などを展開する株式会社フェアグランドに入社。『蕎麦前 山都』六本木店を経て、麻布台ヒルズ店の立ち上げから統括マネージャーを務めた。

『有縁』のストーリー性のある店づくりや、空間の作り込み、おもてなしの接客などは、WATとフェアグランド、この2社から得るものが大きかったと蝶野氏は振り返る。

「WATのカフェ業態では、居酒屋に比べて食べ物や飲み物以外の部分が大きな意味をもち、店の設えや雰囲気なども含めた価値創出の重要性を学びました。また、数字に対して非常にシビアだったので細かな計数管理や、アルバイト比率が高いためチームビルディングについて学べたのも貴重な経験でした」と蝶野氏。

一方、フェアグランドで体得したのは、居酒屋業態で高客単価を実現するための店づくり。

「客単価5,000円の壁があると言われる居酒屋業界にあって、フェアグランドの店は客単価6,000~13,000円。『並木橋なかむら』のように長く愛されるお店や、卒業生の店も多く、息の長い商売を続けるために大切なことを学びました」

日本酒は「昨今のトレンドとは異質なラインナップですが、1日あたり9人なら来てくれるのでは、と選びました」と蝶野氏

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地元の潜在的なニーズを埋める「昼飲み」で認知&売上アップ

学芸大学はワインの業態が強く、「骨太な純米酒を売りにした小規模店は、競合が少ない」とふんでいたという蝶野氏。加えて、クラフトな酒である純米酒はナチュラルワイン好きの層と親和性があるとも考えていた。さらに、界隈に昼飲みできる店が少ないことから、土日は13時から営業することに。スタート直後は苦戦したものの徐々に認知が高まり、平日が1回転強なのに対し、週末は昼から含めて1日4回転することもあるという。

最近は平日も予約で埋まり、近隣の自由が丘などからの目的客も増えているという同店。「日本酒のうん蓄を語る店ではなく、気軽に来店できて、大人がしっぽり飲める店を作りたかった」という蝶野氏の狙い通り、バーでも小料理屋でもない、新しいスタイルの日本酒専門店として注目を集めている。

『有縁』
住所/東京都目黒区碑文谷6-6-6 GAKUDAI COLLECTIV C-2
電話番号/080-4451-6432
営業時間/17:00~23:00(L.O. 22:00)、土日祝13:00〜23:00(L.O. 22:00)
定休日/月曜、第2・4火曜
坪数・席数/5坪・9席
https://www.instagram.com/uengakudai/

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笹木理恵

ライター: 笹木理恵

飲食業界専門誌の編集を経て独立。スイーツ・パンからフレンチ、ラーメンなどまで、食のあらゆるジャンルを担当。飲食専門誌を中心に、一般雑誌やWEB、書籍などで活動している。「All About」「Yahoo!ニュース個人」でも執筆中。 https://foodwriter-rie.com/