『渋谷きんぼし』の姉妹店、三軒茶屋『せきらら』が好発進! 激戦区で生きた“マルホ流”の戦い方
秋田県産に特化した日本酒が好評。サワーの出数も高くドリンク原価率24%
そして、「料理と共に楽しんでほしい」と注力するのが秋田県産に特化した日本酒だ。
「今回、店のテーマとして最初に思い浮かんだのが『日本酒とアテ』というワードでした。コロナ禍で、お酌をし合う文化が一度失われてしまったように感じています。カウンターで、お酒を酌み交わしながら会話に花を咲かせる。そんな風景をもう一度取り戻したかったんです」
既存店でも、ドリンクの注文データを見ると、ビールやハイボールに次いで日本酒がよく出ているという。その手応えから、今回は「もう一度ちゃんと日本酒を勉強しよう」と、「山本」などの銘酒から希少な地酒まで、秋田の蔵元から厳選したラインアップをそろえた。
このこだわりは同業者やお客にも好評で「三軒茶屋エリアで、秋田の地酒を専門に扱う店は珍しい」と注目されている。
その結果、三軒茶屋という土地柄もありドリンクのオーダー率、売上比率がかなり高水準で推移。日本酒に加え、サワーなども人気のため、9月はドリンク原価率が24%に抑えられている。
挙手制で26歳スタッフを店長に抜擢。13坪で好発進
オープンから順調なスタートを切り、客単価は5,500円~6,000円を記録。客層は、老若男女問わず幅広い。当面は売上を追求せず、顧客満足度を上げることに注力していく方針だという。
この好調なスタートを支えるのが、店長に抜擢された26歳(取材時)の藤野氏だ。同社では何事も挙手制で物事を決めており、スタッフの自発性を大事にしている。藤野氏はもともと車の営業マンだったが4年前に飲食業界に入り、『びゃく』『渋谷きんぼし』でも経験を積んだ期待の若手だ。『せきらら』という店名は、彼の何事も包み隠さない素直でオープンマインドな性格にも由来している。『せきらら』は、こういった次世代の活躍の場としての機能も担う。
さらに今後、池上氏は共に働く仲間たちの未来を見据えている。
「来年には独立を考えているスタッフもいます。僕らは『野菜』というワードを軸に突っ走ってきましたが、その価値観を共有してきた仲間たちが、みんな野菜を好きになってくれた。卒業していくメンバーも含めて、この価値観を共有しながら、一緒に大きくなっていきたいんです」
“せきらら”な思いを胸に、野菜の新たな可能性を提示する池上氏。『せきらら』は、三軒茶屋の食文化に新しい彩りを加えるだけでなく、次世代の飲食店経営者を育む土壌ともなるだろう。池上氏と仲間たちの挑戦は、まだ始まったばかりだ。
『せきらら』
住所/東京都世田谷区太子堂4-27-3
電話番号/03-5787-6857
営業時間/17:00~24:00(土日祝は16:00~、フードL.O.23:00、ドリンクL.O.23:30)
定休日/不定休
坪・席数/13坪・26席(カウンター11席)
https://www.instagram.com/sekirara.sancha/











