経堂のニューアメリカン『NEAR MINT TOKYO』が手にした、唯一無二の“三種の神器”
経堂のニューアメリカンレストラン『NEAR MINT TOKYO(ニア ミント トウキョウ)』は、料理、音楽、酒を究めてきたオーナーシェフの渡辺優氏が、三者を共存させた場として2023年に立ち上げた。それぞれの分野が高いレベルまで昇華され、詰まるところそれは他に類を見ない独自のスタイルを生み出している。その店づくりについて、渡辺氏に取材した。
>>飲食店“専門”の求人サイトだから即戦力が見つかる。社員とアルバイトまとめて19,800円で掲載可!
音楽とともにレストランでの会話を愉しむ。本格サウンドシステムを備えた食空間
扉を開けた瞬間、天井からつるされたJBLのヴィンテージスピーカーが目を引く『NEAR MINT TOKYO』。「NEAR MINT」とは、「状態が非常に良い中古」を意味するそうだ。厨房の端にはアンプやターンテーブルがあり、営業中にはソウルやジャズ、ブラジル音楽、ヒップホップなどさまざまなジャンルの音楽が心地よい音色を響かせている。
「レストランでは会話が大切だと思うので、その邪魔にならないようなBGMとして、音が前に出すぎないセッティングにしました。流す曲のジャンルは特に決めず、同じ空気感の音楽で作ったプレイリストの中から、その日の店の雰囲気に合わせたものを選んでいます」
このサウンドシステムを整えたのは、オーナーシェフの渡辺優氏。店内奥の地下室にも、マニアックなパワーアンプを備えたスペースを設け、あえて別の屋号『NIKEMERIO』を名乗っている。赤く照らされたアンダーグラウンドなその空間は、より音楽に没頭できる秘密基地さながらの雰囲気だ。
センスが光るニューアメリカン料理と、マニア好みの多種のジン&ラム
一見ミュージックバーのようにも思えるが、『NEAR MINT TOKYO』で供されるのは「ニューアメリカン料理」。フレンチをはじめとしたヨーロッパの料理をベースに、アジアや中南米、アフリカなど多国籍な要素を取り入れたもので、1980年代からアメリカで広まった。
「さまざまなエッセンスをミックスさせるのは、音楽と共通するものがあると思います。ただ日本人にはまだなじみがないスタイルなので、皆さんが親しみある料理を、自分なりにニューアメリカン料理に落とし込んでお出ししています」
そう語る料理には、都内のフレンチレストランや南青山『ブルーノート東京』、さらには清澄白河のメキシコ料理店などで着実に経験を重ねてきた渡辺氏の腕が光る。
「イカ墨のフライドニョッキ」(1人前990円)は素揚げした真っ黒なニョッキに白トリュフのオイルとトマトパウダーを振った一品。ほかにもビストロの定番、ウフ・マヨネーズと中国料理の海老マヨを合体させた「ウフエビマヨ」(748円)、インドのストリートフードであるパニプリにメキシコのワカモレを詰めた「パニプリワカモレ」(770円)など、実に興味をそそるメニューばかりだ。
さらにアルコールに至っても、渡辺氏のこだわりぶりに驚かされるだろう。「ほかの酒に比べて自由度が高いから」と、ジンとラムを主力に、個性を楽しんでもらえるよう、国内外からジンは50種類、ラムは20種類を用意。マニアックな品までそろうとなれば、愛好家がこぞって訪れるというのも納得だ。
