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『くら寿司』『魁力屋』などで迷惑行為。2025年も続く飲食テロ・バイトテロに企業は厳格な対応

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画像はイメージ。画像素材:PIXTA

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飲食店での「飲食テロ・バイトテロ」と呼ばれる迷惑行為が、いまだに後を絶たない。2025年10月にも、大手回転寿司チェーン『くら寿司』や人気ラーメンチェーン『魁力屋』で新たな問題が発生した。今回はこれらの事例を中心に、迷惑行為が起きた際の企業側の対応を紹介する。

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『くら寿司』、迷惑行為に警察と相談しつつ対応

『くら寿司 山形南館店』では、来店客による迷惑行為の動画がSNSで拡散された。動画には、女性客がレーン上を流れる寿司を素手で触ったり、卓上の醤油差しから直接醤油を飲んだりする様子が映っていたという。『くら寿司』は10月14日、公式サイトで迷惑行為への対応を発表(参考1)。迷惑行為を確認した時点で当該店舗の商品をすべて入れ替えるとともに、備品もこれまで通りお客が入れ替わるたびに交換・消毒を行っていると説明している。

『くら寿司』では、2023年2月にも迷惑行為動画が拡散され、投稿者が逮捕された経緯がある。その際も醤油差しの中身を廃棄し、備品を消毒するなどの対応に追われた(参考2)。今回の件についても、「実行者についてはすでに特定している」とし、地元警察に相談しながら厳正な対応を進める予定だ。

『魁力屋』はアルバイトを懲戒解雇。損害賠償請求も準備

お客による迷惑行為だけでなく、いわゆる「バイトテロ」も発生している。2025年10月9日、『京都北白川ラーメン魁力屋 堺新金岡店』のアルバイトが、営業終了間際の厨房で、廃棄間際の卵をキャッチボールする様子を撮影し、その動画がSNSに投稿された。

同店を運営する株式会社魁力屋は、10月10日に公式サイトで謝罪文を発表(参考3)。社内調査の結果、動画内で不衛生に取り扱われた食材は撮影後その場で廃棄されており、来店客に提供された事実はないと説明している。そのうえで、「法的措置も視野に入れ、厳格に対応する方針」を示した。なお、関与したアルバイトは10月14日付で懲戒解雇処分となっており、所轄警察署に相談するとともに、損害賠償請求なども準備中だという(参考4)

近年の飲食テロ・バイトテロ

飲食テロ・バイトテロが社会問題化した2023年以降も、『くら寿司』『魁力屋』の事例のような迷惑行為が続いている。

■しゃぶ葉
2024年2月、しゃぶしゃぶ食べ放題・バイキング専門店『しゃぶ葉 伊奈店』で、アルバイトがほかのアルバイトから羽交い締めにされ、口の中にホイップクリームを流し込まれる動画が拡散した。運営するすかいらーくホールディングスは、閉店後に破棄予定のホイップクリームを用いた行為だったと説明し、謝罪している(参考5)

■ドミノ・ピザ
2024年2月、『ドミノ・ピザ 尼崎店』のアルバイト従業員が、鼻をほじった指をピザ生地にこすり付けたとみられる動画を投稿。運営会社の株式会社ドミノ・ピザ ジャパンは、就業規則に則った処分と厳正な法的措置を検討すると発表し、当該アルバイト従業員は解雇された(参考6)

■ドトールコーヒーショップ
2025年9月には、ドトールコーヒーショップのアルバイト従業員が、ソフトクリームのプラスチックサンプルを股間に押し当てた画像が拡散。運営会社の株式会社ドトールコーヒーは対象者を特定し、懲戒処分としたという(参考7)

飲食テロ・バイトテロは、店舗のイメージを損ねるだけでなく、経営にも大きな影響を与えかねない。こうした事態を防ぐためにも、調味料の提供方法を変えたり、カメラを設置したりするなどの対策のほか、事案が発生した場合の法的措置を含む厳格な事後対応も検討しておく必要がありそうだ。いざというときのために、これらの事例を参考に対策・対応を考えておきたい。

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com