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回転寿司店での迷惑行為、炎上後の現在は? 『スシロー』は調停成立、『くら寿司』は裁判継続

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大手回転寿司チェーン『スシロー』を運営する「あきんどスシロー」が、店内で迷惑行為におよんだ客の少年に約6,700万円の損害賠償を求めていた件について、大阪地裁で調停が成立し、訴えが取り下げられた。今回は、『スシロー』や『くら寿司』など、大手回転寿司チェーンで起こった迷惑行為問題の「その後」についてお伝えする。

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「あきんどスシロー」は調停成立を受けて訴えを取り下げ

『スシロー 岐阜正木店』で少年が醤油ボトルや湯呑みを舐めたり、寿司に唾液をつけたりするなどの迷惑行為を行い、その様子を撮影した動画がSNS上で拡散、炎上したのが2023年1月のことだ。『スシロー』では客足が減少しただけでなく、親会社である「FOOD & LIFE COMPANIES」の株価が下落。一日で160億円を超える損失が出たとして、『スシロー』を運営する「あきんどスシロー」は、約6,700万円の損害賠償請求を求める訴えを3月に起こしていた。

一方、少年側は、迷惑行為の内容についておおむね認め、反省しているとした上で、客足が減少したことは同業他社との競合も考えられるとして、訴えを退けるよう求めていた。この件については7月31日付で調停が成立。訴えが取り下げられた。

「あきんどスシロー」は、損害賠償の金額を増やす考えも示していたが、少年側が責任を認めて納得できる内容で和解できたことを受けて、訴えを取り下げたという。調停の具体的な内容については明らかにしていない。

なお、少年は器物破損の容疑で書類送検されており、8月1日に岐阜地検が少年を岐阜家庭裁判所に送致。家庭裁判所が保護観察処分などを決定すると見られる。

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『くら寿司』迷惑行為。被告は初公判で起訴内容を認める

また、7月20日には、2023年2月に大手回転寿司チェーンの『くら寿司』で迷惑行為動画を撮影し、SNSに投稿した吉野凌雅被告の初公判が名古屋地裁で行われた。被告は、保護観察処分となっている男とともに『くら寿司 名古屋栄店』で迷惑行為におよんだとして、今年3月に愛知県警が逮捕。飲食店での迷惑行為が社会問題となっている中で、初の逮捕者となった。

検察側は「店舗は醤油差し計97個の中身を廃棄。備品の消毒なども行ったことで、少なくとも約57万円の人件費の負担があった」と指摘。被告は「回転寿司店で面白いことをしたいと考えた」と動機について供述し、起訴内容を認めた。次の裁判は9月8日に開かれ、被告人質問などが行われる。

『スシロー』『くら寿司』など飲食店での迷惑行為が社会問題となり注目されていた中で、「あきんどスシロー」は調停成立を受けて訴えを取り下げたが、少年は家庭裁判所に送致されている。『くら寿司』迷惑行為の被告の裁判も続いており、飲食店での迷惑行為は犯罪だという認知が高まっている。これらの裁判の結果が迷惑行為の抑止力となることを期待したい。

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com