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高市首相就任、飲食店経営への影響は? 「飲食料品“消費税2年免除”」と「労働規制緩和」の行方

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2025年10月21日、高市早苗氏を首相とする新内閣が発足した。喫緊の課題である物価高対策や経済の立て直しに向け、矢継ぎ早に新たな方針が打ち出されている。その中でも、飲食店の経営に直接的な影響を与えそうな2つの大きな動き、「飲食料品の消費税」(参考1)と「労働規制」(参考2)に関する最新の動向を取り上げる。飲食店を切り盛りする人々にとって、これらの政策がどのような変化をもたらす可能性があるのか、その核心をわかりやすく要約していく。

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飲食料品「消費税2年免除」検討へ、物価高対策の目玉となるか

新政権の経済政策で、まず注目が集まっているのが「消費税」の扱いだ。高市首相はかねてより物価高対策を最優先課題と位置づけ、経済状況に応じた施策の必要性を訴えてきた。その具体的な動きとして、自民党と日本維新の会による連立政権の合意書の中に、飲食店経営者にとって聞き逃せない一文が盛り込まれた。

それは、「飲食料品については、二年間に限り消費税の対象としないことも視野に、法制化につき検討を行う」というもの。これは、食材の仕入れからテイクアウト、デリバリー販売まで、幅広く「飲食料品」に関わる飲食店にとって、極めて大きなインパクトを持つ提案といえる。仮に法制化が実現すれば、2年という期限付きではあるものの、仕入れコストの負担軽減に直結する可能性が高そうだ。

もちろん、「視野に」「検討を行う」という段階であり、実現までには多くのハードルが予想される。特に、軽減税率(8%)と標準税率(10%)が混在する現在の複雑な仕組みの中で、飲食料品(酒類を除く)を一律「対象外(0%)」とした場合、インボイス制度やレジシステムの再改修など、現場での実務的な混乱をどう乗り越えるかという課題も浮上する。

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「労働時間規制の緩和」を指示、人手不足の現場はどう動く?

もう一つの大きな焦点は「労働規制」だ。高市首相は就任早々、上野賢一郎厚生労働大臣に対し、「労働時間規制の緩和検討」を指示したことが明らかになった。具体的には、「心身の健康維持と従業員の選択を前提にした労働時間規制の緩和の検討を行う」よう求めたとされる。これには、兼業・副業の促進なども含まれるという。

コロナ禍を経て、飲食業界では深刻な人手不足が続いている。「募集をかけても人が集まらない」「シフトが埋まらない」という悩みは、多くの経営者にとって最大の課題の一つだろう。

そうした背景の中、今回の「規制緩和」の指示は、一見すると人手不足解消の糸口に見えるかもしれない。例えば、意欲のある従業員が本人の希望(選択)に基づいて、より柔軟に長く働けるようになれば、限られた人員での店舗運営がしやすくなる可能性もある。

しかし、この動きには強い懸念の声も同時に上がっている。労働組合の連合は「これまでの長時間労働是正の取り組みに逆行するもので、看過できない」と強く反発。「働き方改革以降も過労死はなくなっていない」とし、現行の時間外労働の上限規制(いわゆる「過労死ライン」)を緩和することにつながるのではないかと、警戒感を隠さない。

期待と懸念が交錯、新政権の「現場感覚」が問われる

重要なのは、これらの政策がスローガン倒れにならず、また現場に無用な混乱をもたらさず、いかに「実効性」を持つ形で具体化されるかだ。今回の政策は、飲食店の経営にも大きく関わってくる内容。飲食店は日々の仕入れやシフト管理といった「現場の実務」と密接な業界だからこそ、新政権の「現場感覚」が問われることになりそうだ。

飲食店経営者としては、これらの大きな変化の波に乗り遅れないよう、引き続き政府の動向を注視し、自店にとって何が最善の策となるかを考え、準備していく必要があるだろう。

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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