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坪月商40万円を売る学芸大学『つきかげ』。焼酎×鶏料理への偏愛を「高収益」に変える技術

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前割りを酒燗器で温めた燗酒も提供

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ゴールは「店舗の買い取り」。譲渡を前提とした「任せる経営」の真意

『つきかげ』の運営スタイルはユニークだ。赤川氏がオーナーではあるが、コンセプト設計からメニュー開発、仕入れ、日々のオペレーションに至るまで、その権限のほとんどが高野氏に委譲されている。

料理の主役は鹿児島直送の「きさ輝(き)地鶏」。部位ごとの食感や旨みの違いを、シンプルな炭火焼きでダイレクトに味わえる

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「基本的には高野に任せています。数字は見ますが、細かい口出しはしません。彼には将来的にこの店を買い取って独立してほしいと考えているからです」(赤川氏)

これは、赤川氏が実践する人材育成と、出口戦略の一つだ。まずは赤川氏が信用力と資金を使って物件を契約し、初期投資を行う。そこで高野氏が実績を積み、投資回収の目途が立った段階(4~5年を想定)で、内装や営業権を買い取ってもらい、名実ともに独立オーナーになってもらうという図式だ。

「なかむら抹茶茶葉割り」(803円)、「松露Colorful紅茶割り」(858円)など、焼酎の新しい楽しみ方も提案。サーバーから注ぐ生ビール「ピルスナーウルケル」(1,298円)も裏名物

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高野氏もこの環境をフルに活用し、経営者としての数字感覚を養っている。

「良い地鶏を使えば原価は上がります。そこで、あえて『おまかせコース(小皿8品6,380円)』を推奨することで、食材ロスを極限まで減らし、原価率をコントロールしています。即興でお出しする料理も多いですが、それもロスを減らしつつお客さまに楽しんでいただくための工夫です」(高野氏)

このスキームは、机上の空論ではない。赤川氏のグループからは、既に目黒の繁盛店『炉端と酒 きいと』の店主・坂上純氏が同様のプロセスを経て独立を果たしている。アパレルから飲食へ転身した異色のオーナーと、海外を知る焼酎マニアの料理人。効率を度外視した焼酎×鶏料理への偏愛と、それを支える緻密な出口戦略。二人のバッテリーが、個店の新しい勝ち筋を示していた。

『つきかげ』
住所/東京都目黒区鷹番3-3-10 メゾンドイトー101
電話番号/090-4221-0702
営業時間/18:00~24:00、土曜(+三連休の日曜)15:00~24:00、日祝15:00~23:00
定休日/火曜+不定休
坪・席数/7.5坪・12席
https://www.instagram.com/gakudai.tsukikage/

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経て2017年よりフリーライター&編集者として活躍。『食べログマガジン』『Web LEON』『Numero.jp』などで、グルメや旅記事を執筆中。