裏渋谷で急成長中の『ワイン酒場uiui』。“育てる店”だからこその持続的な右肩上がり経営
学生アルバイトの目覚ましい進化。営業中の実践で磨かれるプロの技
岩田氏のライバルとして切磋琢磨を続けている工藤洸寿氏は大学2年生のアルバイト。まかないの味を競い合うだけでなく、島本氏や常連客に「どちらの方がおいしいか」を判定してもらうなど日々料理バトルを繰り広げている。『ワイン酒場uiui』で働く以前は、「居酒屋でオペレーション通りに調理していたくらい」の経験だった工藤氏。開業初期から経験を積み上げ、現在では厨房を担う主力となっている。
「最初は肉に火を通すだけでも難しかったですが、今ではグリルパンとオーブンの使い分けもできるようになりました」(工藤氏)
高火力で香ばしさを生み出すグリルパン、一定の温度で中心まで火入れできるオーブンを組み合わせ、理想的な焼き上がりを目指すのだが、営業中は肉だけに集中できるわけではない。他の作業をこなしながら、肉の焼ける音で状態を判断し、同時に付け合わせのポテトを揚げる音にも気を使う。
調理には高い技術は必要だが「責任感や意欲があれば、今後もアルバイトに任せていきます。システマチックな仕組みを用意するのではなく、経験を積ませて成長を見守りたいですね」と島本氏。アルバイトであってもプロの技術を習得できる貴重な環境であり、場数が踏める繁盛店ならではの急成長なのだ。
経験や立場が異なっていても、気持ちよく競い合える環境は島本氏の空気づくりによる賜物だ。
「営業後にワインの勉強のために飲んだり、余った食材で鍋をしたり。もちろん自由参加ですが、なるべくコミュニケーションの取りやすい環境を作れたらいいなと考えています。飲食が好きなスタッフを連れて他店で食事することも多いですよ」
成長につながる教育として近隣の名店だけでなく、ときには遠方の高級店にも出向くという島本氏。食事をつくること、提供することが作業にならないようお客目線を大切に、営業後にも「今日どうだった? お客さま喜んでくれていた?」など、頻繁に声掛けを行うことでも意識を高めているという。
実際に工藤氏が火入れしたハラミ肉は、表面はカリッと香ばしく、中はグラデーションのように柔らかな食感で理想的な仕上がり。同時進行で調理したジャガイモは茹でてから手で潰して揚げたもので、肉のニュアンスに通じる部分が多く、カリッと感とホクホク感がグラデーションのように感じられた。新鮮なハーブをミックスしたサルサ・ヴェルデの香りも高く、学生アルバイトが作ったとは思えないクオリティだった。
そんなプロフェッショナル育成のため、島本氏が日常的に伝えているのは「カッコいい仕事をしよう」ということ。スタッフ一人ひとり、プライベートの出来事で落ち込んだり、悩んだりする日もあるが、コンディションの悪さを指摘したりはせず「カッコいい仕事をしよう」と美学を伝えることが大切だという。島本氏自身が飲食業に向き合う真摯な姿も後押しし、スタッフ全員が高い意識を持つことにつながっている。
「私たちのお店で活躍してくれているスタッフは『輝いているように見える』とお褒めいただく場面も多いですよ」(島本氏)








