【2025年外食トレンドまとめ】繁盛店の共通点は「異分野ミックス」。2026年の飲食業界も先読み
既存業態の「ネオ大衆化」と「専門店化」が進行
伝統的な居酒屋や中華といった既存業態も、現代的な要素を取り入れたり、ターゲットを絞り込んだりすることで進化を続けている。
ニュータイプの大衆酒場として注目を集めたのが、渋谷『フレンチマン』だ。東京進出で月商1,300万円を達成し、料理の質と大衆酒場の気軽さを両立させたスタイルで快進撃を続けている。
居酒屋料理や、和洋中エスニックの定番料理をアレンジした「専門店集合型」の商品構成を採用している三軒茶屋の『酒羅場』も好調だ。20代女性客比率80%を実現。ネオ大衆酒場ながら、特定の客層に深く刺さる店づくりが、結果として高い支持を得ることにつながっている。
中華ジャンルでは、丸の内の『味坊之家』が異彩を放つ。オフィスビル内という立地ながら「屋台×ガチ中華」という異色業態を展開し、初月売上1,100万円超を達成。本場の空気感を再現した体験価値が、ビジネス街のワーカーたちに刺さった形だ。
2025年ヒットメニューは「点心」。「高収益」と「ハイブリッド」の切り札に
2025年、焼売や点心を主役に据えた店舗が躍進した。単なる中華ではなく、「立ち飲み」や「ワイン」と掛け合わせた独自のスタイルが特徴だ。
池袋の『岩瀬蒸店』の名物は1個100円の鶏焼売。幡ヶ谷の『yum』は「ポルチーニ焼売」などの創作点心とナチュラルワインで連日満席を記録した。小伝馬町の『timsum』も点心に絞ることでオペレーションを効率化し、ワイン接客に注力している。
点心が隆盛した背景には、仕込みの工夫でワンオペ・狭小店でも回せる効率性と、ワイン等の高単価ドリンクとも合う柔軟性などが考えられる。蒸したてのライブ感と値頃感を武器に、2025年の高収益モデルを支える人気メニューとなったようだ。
2025年のヒットエリアは「代々幡」&「学芸大学」
2025年の外食業界の成功事例を分析したところ、以下のエリアへの出店が特に盛り上がりを見せていた。
■代々幡エリア
「代々幡」とは、かつて渋谷区の西側にあった町名・村名で、現在の代々木上原、代々木八幡、参宮橋、初台、幡ヶ谷、笹塚などが含まれる。このエリアは、新宿や渋谷に近いながらも、個人店主のこだわりが色濃く反映された「個の力」が強い街として近年注目度が高い。感度の高い住民やクリエイターが多く住み、チェーン店よりも、オーナーの顔が見える店が支持される傾向にある。
このエリアの特徴は、「日常使いできる上質さ」「ジャンルのクロスオーバー」だ。 幡ヶ谷では、前述した『yum』や『kasiki』のほか、自然体で過ごせるワインバーとして街に根ざす『山田』、平日でも2回転する『タイ料理 ミャオミャオ』などが人気を博している。
代々木上原では、元診療所をリノベーションしたカフェレストラン『sew』が「価格競争とは無縁」の価値を創出。また、“新しい町スシ”を掲げる『代々木上原 方程式』や、高知出身の幼馴染が営むご当地酒場『でばやし』、焼酎×創作料理の新店を展開する『IGOR COSY』など、既存の枠に収まらない個性派が集結している。
さらに、参宮橋のワンオペピッツェリア『SAM』の成功など、新陳代謝を繰り返しながらも「街の文脈」を大切にする店づくりが、このエリアのブランド力を高めているようだ。
■学芸大学
一方、東横線の人気エリア・学芸大学も、目の肥えた住民と個人店がひしめく激戦区として存在感を放っている。ここで成功しているのは、ハレの日だけでなく「日常」の選択肢として選ばれ続ける実力店だ。
『クワン』は、ロスを徹底的に抑えることで“原価3割以下”を実現した日常使いのビストロとして、20~30代の女性客から圧倒的な支持を獲得。また、『有縁(うえん)』は、競合多数のグルメ激戦区にありながら、週末には最大4回転という驚異的な回転率を叩き出している。さらに、人気店『リ・カーリカ』の新業態『TUTU』も成功を収めるなど、実力店の勢いが止まらない。
このほか恵比寿、中目黒、渋谷、三軒茶屋など住宅至近の城西エリアは、引き続き飲食店の人気出店エリアとなっている。







