【2025年外食トレンドまとめ】繁盛店の共通点は「異分野ミックス」。2026年の飲食業界も先読み
【注目記事】飲食店経営者に聞いた「今読んでおくべき一冊」。店づくりや集客の極意を学べる推し名著は?
2026年の飲食業界予測
2025年のトレンドを踏まえ、2026年の飲食業界はどう動くのか。以下の3点が重要な潮流になると予測する。
1.「ニッチ」から「マイクロ・ニッチ」へ
「○○専門店」というだけでは差別化が難しくなる中、より細分化された、あるいは意外性のある掛け合わせによる「マイクロ・ニッチ」な業態が増加するだろう。鶏焼肉とワインの『Cotori』や鶏料理に仕込み水を使った前割焼酎などを合わせる『つきかげ』のように、酒と料理のペアリングをさらに先鋭化させた偏愛的な業態が強さを発揮すると予測される。
2.オペレーションの「二極化」
『岩瀬蒸店』のような「超・効率化経営」と、『新宿一丁目たぬき』のような「超属人的経営」への二極化がさらに進む。中途半端なポジショニングの店は淘汰されやすくなるため、自店がどちらの戦い方で勝負するのかを明確にする必要があるだろう。
3.サードプレイスとなる飲食店のコミュニティ化
新規集客コストが高騰する中、既存客のLTV(生涯顧客価値)を最大化する戦略が鍵となる。日常使いできる価格設定で頻度を高める『クワン』や、地域に深く根ざす『洋食api』のように、単に料理を提供する場所ではなく、客にとってのサードプレイスとしての機能をどう持たせるかが、生き残りの分水嶺となりそうだ。
2026年の新注目エリアは「北千住」と「環七以西」
■北千住
2026年に向けて注目すべきエリアの一つとして、路線価の上昇率ランキングで浅草雷門通りに次いで都内2位にランクインした「北千住」がある。
足立区の巨大ターミナル・北千住は、実力派の居酒屋がしのぎを削る激戦区であり、強固な経営基盤を築くための「ドミナント戦略」の拠点としても機能している。その好例が、北千住の『ジャギ飯店×蒸気怪人煙管』だ。同店は、近隣で別々に営業していた2店舗を統合するという大胆な戦略を実行。これにより家賃や人件費といった固定費を大幅に圧縮しながらも、月商450万円を売り上げることに成功した。また、この地で培ったノウハウを武器に、御徒町など他エリアへ進出して成功する事例(『三角』など)も出てきており、北千住は「繁盛店を生み出すインキュベーター」としての側面も強めている。
■環七以西エリア
もう一つ伸びしろを感じるのが、環状七号線(環七)より西側、京王線(井の頭線含む)と東急世田谷線に囲まれたエリアだ。下北沢の喧騒から少し離れたこの“スクエア地帯”では、住宅街の静けさと調和した、感度の高い個人店が増加している。
東松原の『Crumb.(クラム)』は、人気ベーカリー出身の店主が提案する“パン飲み”というスタイルで注目を集める。また、開発が進む世田谷代田では、日本橋『Neki』の西恭平シェフが手掛ける『songbook(ソングブック)』が話題だ。「薪火」をテーマにしつつ、目指すのはあくまで「日常の延長にあるレストラン」。ハレの日需要だけでなく、近隣住民が普段使いできる上質さを兼ね備えている点が、このエリアの成功法則と言えるだろう。
都心へのアクセスと落ち着いた住環境が共存するこのエリアは、感度の高い住民層をターゲットにした「ライフスタイル密着型」の店舗にとって、2026年の有望な出店候補地となるはずだ。
「マイクロ・ニッチ」と「コミュニティ」。2026年を勝ち抜く生存戦略
2025年は「異分野融合によるネオ専門化」「高効率なオペレーション」「多角化による収益安定」、そして「進化した大衆化」という四つの潮流があったように思う。飲食店の業務効率化が進む中でも、お客に寄り添う丁寧な接客や、持続可能なコスト管理を徹底しているような店が、改めて注目された。2026年も商いの基本を大切にしながらも、変化を恐れず、自店の強みを磨き続けることこそが、勝ち抜く鍵となるはずだ。











