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“550円で牛たん食べ放題”の衝撃。亀戸『大衆焼肉居酒屋 牛たん たんと』の利益を生む仕組み

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A4ランク和牛の「カルビ」は2~6枚まで選んで注文できる(写真提供:大衆焼肉居酒屋 牛たん たんと)

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広告費は一切かけずお客に還元。一緒に楽しむことで生まれる好循環

阿久津さんは『牛たん たんと』をオープンさせる前の2018年、同じく亀戸に『大衆焼き鳥酒場 やきとりさんきゅう』をオープンさせている。こちらは「焼き鳥全品1串39円」という驚きの価格が話題となり、現在では亀戸に直営で3店舗を運営。2021年にはフランチャイズ展開をスタートし、全国に加盟店を32店舗まで伸ばしている。

現在『牛たん たんと』で行っているSNSを活用したお客参加型のイベントは、『やきとりさんきゅう』ですでに実践し、大成功を収めた方法でもある。『やきとりさんきゅう』が人気店になった背景には、SNSを活用した話題作りがあり、お客参加型のイベントがそのまま大きな集客方法の一つになっているのだ。

「このポストをスタッフに見せたら焼き鳥5本無料」「100リポスト達成で終日焼き鳥無料」、さらには3月9日を「さんきゅうの日」として、期日までに「390リポスト達成で、3月9日はやきとりさんきゅう全店舗にて開店から閉店まで焼き鳥何本でも無料」などなど……。『やきとりさんきゅう』で阿久津さんは、大盤振る舞いともいえるさまざまな企画を実施してきた。

「もちろん来店客の中にはすごくたくさん食べる人もいるので、利益が出ないこともあります。でも、かえってそういうお客さんの方がSNSに食べたときの写真をアップしてくれたり、友達を連れてきてくれたり、常連さんになってくれたりとお店側にとってうれしいことにつながる場合が多いです。もし自分が焼き鳥100本も食べたら、その写真をアップしたくなりませんか?」と笑顔を見せながら話す阿久津さん。

「食べ放題」以外のメニュー。和牛や揚げ物、スピードメニューなど種類豊富

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阿久津さんの手がけるお店はどこも一切広告費をかけていない。「もし月に10万円の広告費だったとしても、それをすべて焼き鳥や牛たんに変えたとしたら相当な量になります。だったらその分をお客さんに還元して、一緒に楽しんだ方がいい」と考えているという。

「広告費をかけたとしても必ず結果が出るとは限りません。でも今はSNSで飲食店を探す人も多いし、個人の発信が影響力を持つ時代。そこで話題になれば、必ずいい循環が生まれます」

なぜ安くできる? 「独自ルート」と「加工済み仕入れ」で原価率25%以下を実現

さまざまな業態の飲食店で経験を積んできた阿久津さんだが、なぜ自身の店舗開業にあたって「焼き鳥」と「牛たん」を選んだのだろうか。

「焼き鳥は世代や性別問わず受け入れられるし、流行がなくこの先ずっとなくならないだろうと思いました。フランチャイズ展開するにも日本全国で知らない人はほぼいないでしょう。また牛たんは、焼肉の中でも人気の部位。定食屋はあるけど、居酒屋形式はあまり聞いたことがない。それに牛たんの定食屋には女性客も多くて、そこにも注目しました」

路面店の居抜き物件を改装した店内1階(写真提供:大衆焼肉居酒屋 牛たん たんと)

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阿久津さんは長年の飲食業界での経験や人脈を生かし、焼き鳥や牛たんの仕入れ先として独自ルートを開拓した。知り合いからの紹介や仕入れ先との直接の交渉などを通して、牛たんはすでにカットされ、味付け済みのものを格安で仕入れている。『牛たん たんと』のフードのみ原価率は全体で25%以下に抑えられており、このことは利益を生む大きな要因の一つとなっている。

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小坂知美

ライター: 小坂知美

学生時代からの食への探求心と食いしん坊が高じて、フードライターとして活動中。飲食業界でパティスリーやレストラン等の広報・PRに就いていたことから、取材を受ける飲食店側の立場も経験。作り手のこだわりと愛情が詰まった、美味しいものを食べているときが至福の時間。