食料品消費税ゼロ「認知96%」も「対策未定が8割」。飲食店が抱える切実な懸念とは
2026年2月の衆院選で与野党が掲げた「食料品消費税ゼロ」構想。家計には優しく映る公約だが、現場を預かる飲食店にとっては必ずしも歓迎すべき話ではないのかもしれない。「飲食店リサーチ」による飲食店ドットコム会員を対象に実施したアンケート調査から、経営者の本音と、外食業界が直面する新たな「壁」の正体に迫ってみたい。
■調査概要
調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:306
調査期間:2026年1月30日~2026年2月3日
調査方法:インターネット調査
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「外食だけ10%」が招く不公平感。加速する「内食シフト」への恐怖
調査によると、飲食店経営者の96%が「食料品消費税ゼロ」政策を認知しているようだ。しかし、その賛否を詳しく見ると、賛成(32.5%)に対し、反対(38.3%)が上回るという、業界を二分する結果となった。
経営者に「食料品消費税ゼロ化が導入された場合の心配な点」を尋ねたところ、最も多かったのが「外食需要が減り、客数が減少する」(47.5%)という声だ。次いで「納税負担が増す」(38.6%)、「仕入価格に影響する」(34.9%)といった懸念が続く。
こうした現場の声からは、デフレ脱却の兆しが見えつつあるなかで、再び「店で食べる」ことが心理的なハードルになることへの強い警戒感がにじみ出ている。
業績への懸念は7割超、主な理由は「割高感」と「税負担」
業績への影響については、実に73.5%もの店が「影響がありそう」と回答している。その懸念は、割高感による客数の減少にとどまらず、経営の根幹を揺さぶる納税負担や実務コストにも及んでいるようだ。
自由回答では、特に「零細企業はかなり厳しくなる」という切実な声や、時限措置のために価格変更やシステム改修を強いられる事務負担への不満も目立つ。また、「お客の期待が値下げのみにフォーカスしそう」といった、価格転嫁の難しさを指摘する意見も根強い。
対照的に「影響がない」と回答した層には、フランス料理や会員制といった「価格にあまり敏感ではない客層」を抱える店舗や、酒類をメインに提供するバーや居酒屋などが含まれ、業態的に食料品の税率変更に左右されにくいという意見も見られた。
8割が対策未検討、不透明な制度設計が壁に
業績への懸念を抱く事業者が7割を超える一方で、具体的な対策を考えている飲食店はわずか20%にとどまった。残りの80%は「対策を考えていない」と回答しており、危機感はあるものの行動に移せていない実態がある。
対策を講じられない理由としては、「そもそも外食が含まれるのかなど、制度の前提条件が不明確」「円安による仕入れ価格の変動など、外部要因が多くて考えようがない」といった、制度設計の不透明さを指摘する声が強い。
選ばれる理由は「安さ」の外側に。問われる店の真価
今回の調査から、飲食店の大半が「食料品消費税ゼロ」を自身の経営を左右する重要課題と捉えながらも、具体的な見通しを立てられずに様子見を続けている状況が明らかになった。今後、制度の具体化が進むにつれ、各店は「テイクアウト強化による節税メリットの享受」か「店内飲食の付加価値向上」かといった、難しい判断を迫られることになるだろう。
テイクアウトの強化やメニューの再構築など、検討すべき選択肢はいくつか示され始めている。逆風をどう乗り越えるか、飲食店の底力が再び試されている。














