竹田クニ氏が語る「2026年の外食トレンド」。激動の時代に飲食店はどう変わるべきか?
戦争や国際紛争、異常気象、円安、物価高騰、そして賃金の伸び悩みなど社会情勢はめまぐるしく変化している。2026年、外食業界を取り巻く環境はどのように変化し、これからの飲食店経営者はどのような指針を持つべきなのか。多様な視点からフードビジネスの未来を提言する、ホットペッパーグルメ外食総研・研究員の竹田クニ氏に語ってもらった。
>>飲食店“専門”の求人サイトだから即戦力が見つかる。社員とアルバイトまとめて19,800円で掲載可!
2026年に向けて直視すべき「4つの不可逆的な変化」
私が考える、これからの市場を取り巻く「不可逆的な変化」は大きく4つあります。
1つ目は「労働力の枯渇」です。生産年齢人口の減少は深刻で、絶対数が足りません。今後は外国人、シニア、主婦、スポットワーカーなど、多様な背景を持つ人材をどうマネジメントし、戦力化していくかが問われます。
2つ目は「物価高と選別消費」です。原材料費や光熱費の高止まりは続きます。一方で消費者の財布の紐は固く、外食機会そのものは減少傾向にあります。その結果、「わざわざ行く価値のある店」と「安くて早くて便利な店」への二極化がさらに進行するでしょう。実際に、大都市圏では客単価2,500円〜3,000円の店よりも、6,000円前後の価格帯の店が活況を呈しています。「せっかくの外食の機会だから思い切って」という消費者の心理が働いているのかもしれません。
3つ目は「インバウンドの地方分散」です。訪日客の増加は続きますが、その目的地は都市部から地方へ、そして高級店から地元客に愛されるローカルな店へと広がりを見せています。外国人観光客は、作られた観光地ではなく、その土地の「素の文化」を求めています。従来は少し高級なニュアンスもあった「ガストロノミーツーリズム」ですが、今後はカジュアルに楽しむ意味合いも加わり、地方の飲食店には大きなチャンスとなるでしょう。
4つ目は「テクノロジーの民主化」です。モバイルオーダーや配膳ロボット、バックヤードのDXツールなどは導入期を終え、普及期に入りました。これからは「導入すること」自体ではなく、「どう使いこなすか」が勝負の分かれ目となります。
テクノロジー民主化以降は、感情労働としての価値向上が重要に
外食産業の労働は「肉体労働」「頭脳労働」「感情労働」の3つに分解して考えることができます。
重いものを運んだり、単純な調理をしたりする「肉体労働」は、ロボティクスに代替されていくでしょう。また、需要予測や原価計算、シフト管理といった「頭脳労働」は、デジタルツールによって飛躍的にパフォーマンスが向上します。そして感情労働は「ヒトのチカラ」を活かす労働として、テクノロジーによって補完・拡張を受けながら進化していくと捉えています。
感情労働とは、気配り、心を通わせる会話、臨機応変な対応など、人の心に働きかける仕事のことです。過去の外食産業は、成長のためのマニュアル化など現場オペレーションを画一化することを進めてきましたが、これからの時代に価値を生むのは、マニュアルを超えた人間らしい振る舞いです。
テクノロジー導入の真の目的は、省人化によるコストカットだけではなく、デジタルに任せることで「時間」と「心の余裕」を手に入れることです。例えば、オーダーテイクや会計業務から解放されれば、スタッフはお客さまのテーブルへ行き、料理の背景を語ったり、好みに合わせた提案をしたりすることに注力出来ます。
顧客管理システムで情報を蓄積できれば、初めて対応するスタッフでも常連客へ「いつもありがとうございます」といった心温まる対応ができます。このようにテクノロジーを活用することによって、感情労働の質を飛躍的に高めることができると言えるでしょう。






