竹田クニ氏が語る「2026年の外食トレンド」。激動の時代に飲食店はどう変わるべきか?
感情労働の源泉となる「インテグリティ(誠実さ)」
質の高い「感情労働」によって、お客さまにウェルビーイング的な価値を提供するために必要なのは、マニュアルではなく「個」が自律的、積極的かつ創造的に働くこと。そこで私が最も重要視するのが、組織と個人の「Integrity(インテグリティ)」です。
インテグリティとは、「誠実さ」「真摯さ」「高潔さ」といった意味で、マネジメントの権威であるピーター・ドラッカーや、有名投資家のウォーレン・バフェットも重視した経営資質です。
マニュアルには無いけれど、お客さまの状況を見て、臨機応変にサービスをする。自ら考えて目の前のお客さまのために動く。こうした行動は、スタッフ自身の「誠実さ」や「本気度」から生まれるもの。デジタルが進化する一方で、育まなくてはならないのはヒューマンな顧客接点であり、それを左右する概念が「インテグリティ」だと私は考えます。
では、スタッフのインテグリティをどう育むのか。実は大手チェーンよりも、志の高い中小規模の飲食店にこそ学びがあります。
例えば、「居酒屋甲子園」で上位に入るような店舗を見てみると、彼らは独自の「バイブル」や「クレド(信条)」を手作りし、それを徹底的に共有しています。バイブルやクレドの中にはマニュアル的な業務の規定ではなく、「人間力とは何か」「なぜこの仕事をするのか」といった問いがしたためられ、そこに向き合い続けることでスタッフ一人ひとりの成長を本気で応援しています。
外食産業はこうした中小の優れた取り組みによって輝いている現場スタッフの姿から、感情労働の有り方、進化のさせ方を改めて学ぶとこが出来ると考えています。
自店の「価値」を再定義する機会に
2026年に向けて飲食店の経営者の皆さんにお伝えしたいのは、自店の「価値」を再定義することです。ターゲットは誰で、その人にどんなウェルビーイングを提供できるのか。そして、その価値を届けるスタッフは、やりがいを持って働けているか。
デジタルで効率を高める一方で、店の価値において今後ますます重要となる「感情労働」の価値をいかにして高めるか? 感情労働の担い手である現場スタッフの「インテグリティ」をいかに育むか? これが2026年以降の飲食店経営において極めて重要な取り組みとなっていくでしょう。
竹田クニ
1963年生まれ。「ホットペッパーグルメ外食総研」研究員、株式会社ケイノーツ代表取締役、日本フードサービス学会会員、一般社団法人レストランテック協会顧問、早稲田大学校友会 料飲稲門会常任理事。マーケティング、消費者の価値観変化、生産性向上などをテーマに講演、記事執筆、企業のコンサルティングを行うほか、外食、中食、給食を結ぶB to Bマッチングも手掛けている。











