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坪月商90万円の神田『かきのおきて』。100名採用の未経験者を“職人に変えた教育制度”とは?

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株式会社ジャッピーダイナーが運営する『かきのおきて神田店』店長・沼倉大輝氏(中央)と研修トレーナーの丹野翼氏(右)、スタッフの山田淳平氏(左)

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2024年3月、東京・神田の路地裏に彗星のごとく現れた『かきのおきて』。わずか11坪・25席の小箱ながら、オープン1年半で最高月商1,000万円を突破し、坪月商90万円という驚異的な数字を叩き出している。

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この数字以上に業界関係者を驚かせているのが、深刻な人手不足が叫ばれる飲食業界において、わずか1年半で100名以上ものスタッフを集め、直営・FC含めて一気に5店舗まで拡大した「組織力」だ。しかも、正社員の定着率は「ほぼ100%」という。当然、学生アルバイトは入れ替わりもあるが、未経験から瞬く間に「職人」へと成長を遂げる教育の仕組みも確立している。

今回は、急成長を支える神田店店長の沼倉大輝氏とトレーナーの丹野翼氏に取材を敢行。マニュアルを超えた「心」の教育と、応募が殺到する採用の裏側に迫った。

神田店はオープンキッチンを中心とした活気あるレイアウト。スタッフの声出しと笑顔が、狭さを感じさせない居心地の良さを生んでいる

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「牡蠣が痛いと言っている」。技術よりも先に教える、仕事への向き合い方

「牡蠣剥き」という作業は、飲食店の調理業務の中でも特殊な技術を要する。専用のナイフを使い、固く閉ざされた殻をこじ開ける。力任せにやれば殻が砕け、身に破片が混入してしまう。かといって慎重になりすぎれば提供スピードが落ちる。まさに職人技だ。

学生アルバイトを主力とする『かきのおきて』では、多くのスタッフが飲食未経験、さらには「生牡蠣を食べたことすらない」状態からスタートすることもある。しかし、彼らは短期間で「12個を3分以内(1ケース30分)」で剥くほどのスペシャリストへと成長していく。その秘密は、入店直後のユニークな指導だ。神田店店長の沼倉氏は、新人にこう語りかけるという。

「力でやって殻が欠けてしまうのは、牡蠣が『痛い』と言ってるから。向こうから開いてくれるように接してあげて」

『かきのおきて神田店』店長・沼倉氏。前回の記事で登場した小林弘幸氏が次のキャリアステップへ進んだため、その思いを引き継ぎ店を盛り上げている

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沼倉氏はこれを「牡蠣の心」と呼ぶ。一見、精神論のように聞こえるかもしれない。しかし、ここには「商品をモノとして扱わない」という強いメッセージが込められている。

「1個1個、牡蠣の表情は違います。それを見極めて、心で接する。そう教えることで、スタッフは単なる作業員ではなく、命を扱うプロとしての意識を持つようになります」と沼倉氏は笑う。

不器用だったというアルバイトの山田氏も、約1年半の経験で牡蠣12個を2分で剥く職人に成長

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技術的な研修も徹底している。飲食店の多店舗展開サポートを行うJRD(Japan Restaurants Development株式会社)のノウハウを基に作成されたマニュアルは70ページにも及ぶ。そこには衛生管理からサービスの基本までが網羅されているが、特筆すべきは開業前研修開始から7日間の過ごし方だ。

初日には「オリエンテーション」として、実際に牡蠣を食べる体験を行う。自分が扱う商品がどれほどおいしいのか、なぜお客が喜ぶのかを舌で理解させるためだ。

「ただ持って行くだけなら運搬業、置くだけなら作業。そうではなく、喜んでもらうために何ができるかを考えてほしいんです」

トレーナーの丹野氏が語るこの言葉通り、技術の前に「マインド」を徹底的にセットアップする。これが、同店のスタッフが短期間で戦力化する最大の要因である。

研修トレーナーの丹野翼氏は運営マネージャーを兼任。スタッフ募集には『求人飲食店ドットコム』も活用する

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佐藤 潮.

ライター: 佐藤 潮.

ミシュラン三つ星店から河原で捕まえた虫の素揚げまで、15年以上いろいろなグルメ記事を制作。酒場系の本を手掛けることも多く、頑固一徹の大将に怒られた経験も豊富だ。現在、Webのディレクターや広告写真の撮影など仕事の幅が広がっているが、やはりグルメ取材が一番楽しいと感じている。