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なぜ朝7時から満席に? 高円寺『朝から居酒屋 陽のうえ』から学ぶニッチ需要の掴み方

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真っ赤な色がインパクト抜群の「紅生姜かき揚」(280円)

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個人的な体験がオープンのきっかけに

「朝から飲める」という独自の価値とコスパの良さで、飲食店の多い高円寺で確固たるポジションを築きつつある同店。だが、そもそもなぜ“朝飲み”の居酒屋を始めようと考えたのか。そこには、2歳の女児を持つ有田夫妻の個人的な体験に基づいた動機があったという。

「子どもが生まれてくれてからは、保育園に預けた後しか2人の時間が取れなかったんです。飲食業なので平日が休みなんですが、たまに休みにリフレッシュしようと思っても、お昼しか食事に行けない。だからその時間帯で行けるお店をいっぱい探して、行ってみたお店がどこもすごく良くて。それで『こんなに素敵な時間がつくれるのなら、僕らも朝からやってみようか』と始めたんです。商売としてすごく流行るかどうかというより、個人的な動機が大きかったですね」

また、コロナ禍で高円寺の飲食店が減少したこともオープンの背景にあった。

「高円寺って昔から、朝晩を問わず24時間飲める街だったのに、コロナをきっかけに、朝に営業していたベテランのお店がどんどんなくなっていっちゃった。で、僕らはそんなお店で楽しんでいた側だったので、『じゃあ、もう自分でやるしかないな』と。『小粋』もそうですが、ここも僕が行きたいお店なんです。変な話ですけど、僕、お休みの日にどこに行きますかって言ったら、まずここに来るんですよ、飲みたいから(笑)。自分が行きたいお店にしか活路を見出せなかったんですね。僕らは朝に目覚まし時計をかけて飲みに行くんですが、もっとそういう文化があってもいいんじゃないかなと思ったんです」

店内にはキープされたボトルがずらりと並ぶ

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とはいえオープン前は、軌道に乗るか不安もあった。特に勝算があったわけでもなく、「大丈夫かなって感じでしたね。『この良さが伝わってくれるかな』という不安はありました」と久徳氏は回顧する。なおみ氏も「『階段なんて登れないよ』とか『朝7時って誰が来るんだよ』と言われましたね」と苦笑いで振り返るが、蓋を開けてみれば、早々に朝から席が埋まるように。「結果論ですが、“朝から”という店が欲しかった人が、やっぱり僕ら以外にもいたんだなと思いました」と久徳氏は笑う。

「このお店は、働いてくれているメインの2人が培ってきた空気が大きいですね。僕がやれることなんてあまりない。やっぱり、働いてくれる人の空気感ってすごく重要なんだなと気づきました。2人の空気感が、ちゃんと朝にはまっていたことが良かったんだなと思います」(久徳氏)

今後は7店舗まで拡大が目標

“尻男優”として活躍していた「タモリ倶楽部」は放送終了してしまったが、現在もお笑いコンビ「ダンサブル」として活動を続けている久徳氏。飲食業では前述の通り、駄菓子バー『BJ Bar』、居酒屋『小粋』、そしてこの『朝から居酒屋 陽のうえ』と3店舗を経営するオーナーとして着実に歩みを進めている。

「ありがたいことに、『タモリ倶楽部』のファンの方が本当にちょくちょく来てくれて。北海道や熊本からとか、新婚旅行で来られたという方もいらっしゃいましたね(笑)。だから、僕というよりもやっぱり『タモリ倶楽部』の影響が大きいですね」

今後は、7店舗まで拡大することが目標。「やっぱり面白いお店をやりたいなと思っています。僕が行きたかったお店や行っていたようなお店をやってみたいなと。最近、株式会社No.7(ナンバーセブン)という名前の会社を立ち上げたので、まずは社員を7人にして7店舗まではいこう、というのが第一目標ですね」と久徳氏は語る。

立ち上げたNo.7は、久徳氏の昔からの知り合いと、もともと「空耳アワー」ファンだった『小粋』の元常連のお客を加えて4人体制になった。構想しているのは、すべて異なるコンセプトの居酒屋。社員がそれぞれ1店ずつ担当し、独自のカラーを打ち出すことが理想だ。

「『陽のうえ』で、居酒屋は従業員にだいぶ依存するんだな、と実感したので、『この子にはこういうお店をやらせてあげたい』と僕のアイデアを乗せた形にしていこうかなと思っています。どういう店にするか決めているわけではなくて、とにかく従業員とお客さまに還元できればいいな、と。僕らが儲けるとかは、その次の次で」

そう笑う久徳氏。芸人と飲食店オーナーの“二刀流”を貫く久徳氏の挑戦はまだまだ続きそうだ。

『朝から居酒屋 陽のうえ』
住所/東京都高円寺北3-22-12 第六東和ビル3階
営業時間/7:00~17:00
定休日/不定休
席数/28
https://www.instagram.com/asakara_hinoue/

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河鰭悠太郎

ライター: 河鰭悠太郎

食とエンタメのフリーライター。業界紙、一般情報誌、エンタメニュース編集部などを経て2017年に独立。現在はフリーランスとして取材、執筆、撮影、校正まで手掛ける。ラーメン取材の経験が豊富で、現在も定期的にラーメン店の仕込みを取材。ラーメンとタイ料理好き。趣味はラーメン作りとムエタイ。