坪月商42万円の新宿御苑前『あずま商店』。沖縄酒場ながら“沖縄感”を封印した逆転発想の店づくり
沖縄料理をフードメニューの柱にしながら、沖縄料理店らしさを封印する。この逆転発想の店づくりとメニュー戦略により、坪月商42万円を売り上げている繁盛居酒屋が東京・新宿御苑前に店を構える『ゆんたく酒場 あずま商店(以下、あずま商店)』だ。沖縄のエッセンスを組み入れた創作料理で独自性を打ち出しつつ、客単価アップを図り、営業利益率25%の高収益モデルを構築。接客力の向上にもつながる一石三鳥のメニュー戦略の勘どころを店主の東良亮氏にうかがった。
>>飲食店“専門”の求人サイトだから即戦力が見つかる。社員とアルバイトまとめて19,800円で掲載可!
月商200万の不振店を450万へ倍増させた「立地×固定客」の法則
郷土料理をフードメニューの柱にすると売りが明確になるものの、利用動機が限定されがちな側面がある。巧みなメニュー戦略により、そうした郷土料理のストロングポイントを活かしながら、ウイークポイントを克服した注目の居酒屋が東京・新宿御苑前に店を構える『あずま商店』だ。
同店を運営する東良亮氏の創業店は東京・八王子の『なんくるないさ~ 八王子店』。前職の株式会社subLimeの開業支援制度を活用し、グループ企業の既存店の運営を引き継ぐ形で2019年9月に独立を果たした。
「この店の独立前の売上は、25坪75席の規模で月商200万円足らずでした。苦戦の要因は立地です。JR八王子駅は北口に繁華街、南口に住宅街が広がっているのですが、『なんくるないさ~』が店を構えているのは南口エリアで、フリ客をつかみにくかったのです。一方で、駅からのアクセスがよかったことから、『固定客をつかめば勝てる』と見込んで独立を志願しました」
その東氏の狙いはズバリ的中する。アフターコロナ期に移行すると月商は450万円に伸張。その勢いを駆り、東氏が事業の第二ステップとして選んだのが都心部への進出だった。八王子駅からJR中央線1本で行ける新宿駅。そこからギリギリ徒歩圏内である新宿御苑前エリアに着目し、2025年5月にオープンしたのが『あずま商店』だった。
あえての脱・沖縄。モダンな空間が生み出す客単価アップの仕掛け
『あずま商店』の店舗規模は13坪29席。『なんくるないさ~』はオリオンビールの提灯を店内に飾りつけるなど、沖縄料理店らしい内外装デザインを施しているが、『あずま商店』の空間づくりではあえて沖縄イメージを封印したという。
「『あずま商店』の業態の下地はあくまで居酒屋。『なんくるないさ~』を運営する中で、沖縄料理の惹きの強さを実感する一方、ソーキそばやタコライス、ゴーヤーちゃんぷるーなど食事メニューが多いことから客単価アップを図りにくいことが課題点でした。そこで沖縄料理店ではなく、『沖縄料理を提供する居酒屋』をイメージして業態開発を進めました」と東氏はその狙いを説明する。
そうした意図を空間設計に的確に反映すべく、スタジオムーン出身のデザイナー・花岡美穂子氏にデザインを発注。シーサーをモチーフにしたロゴを店頭に掲げている他は沖縄イメージを排除し、木目を基調としたモダンな内外装デザインを、スケルトンから作り込んだ。
沖縄料理を下地にしながらポイント、ポイントに創作料理を投入
内外装のイメージをがらりと変えた一方、フードメニューについては『なんくるないさ~』を下地にした。フードの商品構成は『なんくるないさ~』が7カテゴリー計52品に対し、『あずま商店』は7カテゴリー計40品。商品数をやや絞り込みつつ、5割を超える24品は『なんくるないさ~』との共通メニューで構成している。特筆すべきはポイント、ポイントで投入された創作メニューだ。
名物メニューに据えているのが「チキン南蛮」(980円)、「鶏もも肉黒焼き」(1,480円)、「あぐー豚ロースステーキ」(2,800円)の3品。いずれも沖縄料理に属さないメニューだが、チキン南蛮は鶏肉をソーキそばのスープに漬け込んでおり、ロースステーキには沖縄産の銘柄豚であるあぐー豚を使用することで沖縄らしさをプラスしている。






