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恵比寿で話題の『cumo』に学ぶ! 社員年収1,000万円を狙う“町ビストロ”の高収益戦略

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『cumo』を運営する株式会社志成NEXT代表取締役社長の佐藤廉也氏(右)と同店シェフの正垣克敏氏。正垣氏の愛称・バズは『トイ・ストーリー』の同名キャラクターと似ていることが由来。お店でも同キャラのTシャツを着用している

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東京・恵比寿エリアで『amme』や2号店『sqall』、3号店『kosamme』などを展開する株式会社志成NEXT。2026年4月14日にオープンした初のビストロ業態『cumo(クモ)』も連日賑わいを見せている。その立役者となったのが、都内の洋食店で修業を積み、同社に加わった正垣克敏氏だ。強力なタッグにより生み出された高収益かつ顧客満足度の高いメニュー戦略、そして従業員が夢を持てる独自のビジョンに迫る。

「人」ありきの出店戦略。腕利きシェフと仕掛ける新業態“町ビストロ”

株式会社志成NEXTの出店スタイルは、具体的な計画を先に立てるのではなく、「優秀な人材を獲得したタイミングで、その人に合った店舗を立ち上げる」という完全な「人ありき」の形をとっている。

2026年4月14日にオープンした『cumo』も、まさにその手法で誕生した。社長の佐藤廉也氏と同じ早稲田大学出身という縁で紹介された正垣氏は、大手パンメーカー勤務を経て料理界へ転身し、代々木のイタリアンで副料理長まで務めた腕利きのシェフだ。佐藤氏の人間性や描いているビジョンの大きさに惹かれて2025年11月に志成NEXTに入社。そのわずか1か月後には、正垣氏を中心に据えたビストロ業態の開業が決定したという驚異のスピード感である。

「これまで和食居酒屋を3店舗展開してきたので、少し毛色の違う業態に挑戦したいと考えていました。恵比寿には高価格帯のビストロはありますが、客単価6,000~7,000円で日常使いできる店は意外と少ない。バズ(正垣氏)の洋食の技術を活かし、“町中華”のように気軽に通える“町ビストロ”を作れば面白いと考えたんです」と佐藤氏は振り返る。

『cumo』の店内。お客とのコミュニケーションを重視する、志成NEXTらしいカウンター席中心の店舗デザインだ

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ビストロに加える「町中華」の哲学。邪道でも“売れるメニュー”への転換

『cumo』のメニューは正垣氏がベースを考案し、そこに佐藤氏の「売れるための視点」を反映させたものが多い。例えば、人気メニューの「和牛すき焼きボロネーゼ」がそれだ。正垣氏が試作したボロネーゼは、味は良かったがインパクトがなく、佐藤氏の目には「面白くない」と映った。

「クラシックな味わいで、旨みは強いけどちょっと甘みが足りなかった。日本人は甘辛で旨みの効いた味が好きな人が多いんです。そこで、卵を乗せて、焼肉のタレをちょっとかけてみたら『うまいやん』となって。で、さらに『これ、和牛も乗せたら面白いんじゃない?』と(笑)。バズは『邪道すぎだろ』という顔をしていましたけど、『面白くないと売れないぞ』と和牛も乗せました」(佐藤氏)

SNSでの投稿も映える「和牛すき焼きボロネーゼ」(1,980円)

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それは、正垣氏が歩んできたイタリアンやビストロの世界にはない発想だった。思わぬダメ出しに「悔しくてその日は寝れなかった」という正垣氏だったが、考え方を根底から見直してメニュー改良に着手。翌日には提示したすべてのメニューが合格する。正垣氏は、メニュー開発のヒントを“町中華”に求めたことが奏功したと振り返る。

「町中華って、和の食材を中華の技法で調理する『中華風の和食』だと思うんです。同じようにビストロ料理でも和洋折衷のスタイルを作ろうと意識しました。例えば、豚バラブロックの煮込みでは、醤油やみりんで旨みや甘みを足し、バルサミコ&トマトを繋いでいます」(正垣氏)

そんな柔軟な発想から生まれた「巨大豚バラブロックのホロホロ煮込み」(1,880円)など、同店ならではのメニューは、「おいしいだけでなく驚きがある」とお客の反応も上々。正垣氏が積み重ねてきた料理キャリアに佐藤氏の忖度のない意見が加わることで、『cumo』ならではの一皿が生まれたのである。

前菜「水牛モッツァレラとフルーツトマトのカプレーゼ」(1,280円)はトマトの甘みが印象的な人気メニューだ

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「豚肉をみりんと酒と砂糖で柔らかくなるまで煮込むなんてやり方は、ただイタリアンだけ、ビストロだけ学んできた人間にはない引き出しだと思います。『その調味料は使わないだろう』となりますから」(正垣氏)

お客を驚かせる料理には“仕入れ力”も大きいため、「常にアンテナを張っています」と正垣氏。例えば「水牛モッツァレラとフルーツトマトのカプレーゼ」のトマトは、正垣氏が見つけた青果店で自ら仕入れている。「地道な努力が回りまわって、皿を経由してお客さまに届いたときはガッツポーズですね」と正垣氏は笑う。

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河鰭悠太郎

ライター: 河鰭悠太郎

食とエンタメのフリーライター。業界紙、一般情報誌、エンタメニュース編集部などを経て2017年に独立。現在はフリーランスとして取材、執筆、撮影、校正まで手掛ける。ラーメン取材の経験が豊富で、現在も定期的にラーメン店の仕込みを取材。ラーメンとタイ料理好き。趣味はラーメン作りとムエタイ。