飲食店経営者にレジの使用状況を調査。POSレジは37%、タブレットレジの使用は16%という結果に
消費増税に備えて、レジ買い替えの検討が必要になる飲食店も
飲食店を経営する方にとっても目が離せない話題である消費税問題。もともと消費税率10%への引き上げは来年4月を予定していたが、現在、与党内で先送りにすべきかの議論が活発化しており、その行方はいまだ定まらない状況にある。
しかし議論の最中ではあるものの、いずれ消費増税が実現することは確定的。飲食店としては粛々と準備を進めていきたいところだ。では具体的にはどのような準備が必要なのか? メニューの値上げを検討する、客足が落ちないための対策を練るなど、さまざまな準備が必要だが、忘れてはならないのがレジの見直しだ。
今回の消費増税では、酒と外食を除く飲食料品は税率8%に据え置く「軽減税率」が導入される。そのためテイクアウト商品を扱う飲食店などは、8%と10%の商品を分別できるレジを使用しなくてはならない。もし税率の分別ができないタイプのレジを使用している場合は、買い替えが必要になってくるわけだ。
弊社では今年3月に、飲食店経営者を対象に「レジに関するアンケート」をおこなった。どのようなレジを使用しているか、またレジを選ぶ際のポイントなどを伺ったのだが、アンケートを通じてさまざまなことがわかった。今回はその内容を詳しく紹介していく。
■調査概要
調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:97名
調査期間:2016年3月11日~2016年3月18日
調査方法:インターネット調査
アンケート結果はこちら
飲食店の多くが、レジを選ぶ際は「費用」と「操作性」を重視
今回の調査では回答者の経営店舗数も調査したが、その結果、1店舗のみを運営する経営者が72.2%だった。1店舗経営の場合、売上管理は複雑な作業ではないので、その分POSレジをはじめとした高機能レジの使用率は低くなってしまう。こうした傾向を踏まえながらアンケート結果を見ていきたい。
まず最初は、飲食店の皆さんがどのようなポイントを重視してレジを選んでいるかを聞いてみた。
※複数回答可
「費用」を重視するという回答が一番多かったのは当然の結果といえる。次いで多いのが「操作性」で、66.3%の方が重視していることがわかった。毎日、使用するものだけに使い勝手の良さを求めている方が多いのだろう。
では実際にどのようなレジを使用しているのか? レジは大別すると、箱型のレジスター専用機か、iPadなどを利用したタブレットタイプに分かれる。またレジスター専用機でも、計算機とキャッシュドロアだけがついたタイプと、POSシステムがついた「POSレジ」に分かれる。
タブレットタイプはほぼすべての機種でPOSシステムが搭載されているが、月々の利用金額によって使用できる機能が変わってくる。安く導入することは可能だが、機能性を重視するとそれなりのランニングコストが掛かるというわけだ。
上の回答から想像すると「安くて使い勝手のいいレジ」が選ばれているはずだがいかがだろうか。
まずレジの種類については、「レジスター専用機」が多いという結果に。iPadなどを利用した「タブレット型レジ」は16%程度の利用率のようだ。
またPOSシステムの導入についても聞いたが、利用している店舗は37.1%にとどまった。POSシステムの導入には初期費用やランニングコストが掛かり、また複雑な設定が必要なケースもあるので、飲食店のほとんどの方が「安くて使い勝手のいいレジ」を求めているのであれば当然の結果といえるのかもしれない。
ちなみにPOSシステムを導入しない理由も聞いてみたのでご紹介したい。
※複数回答可
やはり一番の理由は「費用が高いから」で52.5%。次いで「必要性を感じないから」「よく知らないから」という回答が同率の34.4%となった。
今回のアンケートの回答者には、1店舗のみを運営する経営者が多いが、1店舗であれば売上や商品の管理もシンプルなわけで、POSシステムがなくても十分に業務はまわる。POSシステムの必要性を感じることもなければ、詳しく調べることもない。そんな方が多いのであろう。
しかしPOSシステムは日々進化しており、予約管理などの機能がついた機種も出始めた。またタブレット型のPOSシステムであれば導入費用も抑えられる。よく知らないままで敬遠するのはもったいないので、消費増税を機に調べてみるのもいいだろう。
戦略的に店舗運営をするためにはPOSシステムが心強い味方に
最後にPOSシステムを利用している飲食店の方へ、具体的にどのような機能を愛用しているのか伺ったのでご紹介したい。
※複数回答可
POSシステムの大きな魅力である「売上状況の分析」は91.7%の方が、そして「売上のリアルタイム確認」が72.2%、「オーダーエントリーシステム」を利用している方が66.7%にのぼることがわかった。
売上分析に関しては「客単価」や「売れ筋メニュー」が手軽にわかる機種もあり、これらを活用すれば店舗運営をより戦略的におこなうことができそうだ。また最近は会計ソフトとの連携や予約管理ができる機種も多い。こうした機能を駆使して業務効率化を図れば、本来時間を割くべきであるメニュー開発やスタッフ教育といった「店づくり」に力を入れることができる。
POSシステムを敬遠している方は、POSシステムをただの「多機能レジ」と捉えるのではなく、店舗運営の心強い「サポーター」として捉えれば、また違った見方ができるかもしれない。
さて今回は飲食店のレジ事情について、弊社がおこなったアンケートをもとにご紹介した。POSレジやタブレットレジの利用はまだ少ないようだったが、軽減税率導入に合わせてレジ各社もプロモーションを積極的におこなっている。また軽減税率対策補助金の対象となっているレジを購入する場合は、導入費用の半額近くの補助金を受け取ることができる。軽減税率の影響を受ける飲食店はもちろん、これまでレジにこだわりのなかった飲食店の方も、ぜひ一度、レジについて詳しく調べてみてはいかがだろうか。