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繁忙期対策は「9月スタート」が鍵。人材確保から予約対策まで、外せない5つのポイントとは?

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飲食業界にとって閑散期と言われる8月が終わり、いよいよ本格的な秋が到来しようとしている。これから年末の忘年会シーズンに向けて徐々に忙しくなるわけだが、繁忙期を安心して迎えるためには、今この時期にしっかりと準備を進めておかなければならない。そこで今回は、宴会シーズンに向けた定番の準備から、見落としがちなポイントまで、冬の繁忙期を乗り切るための5つのポイントをご紹介したい。

スタッフの確保は“今”が勝負時!

■繁忙期の戦力となるスタッフを「確保・育成」する
まず考えたいのはスタッフの確保だ。現時点で人材不足を感じている店舗は今すぐにでも増員の準備を。いざ繁忙期を迎えたときには、必要な人数が揃っているのはもちろんのこと、スタッフ間のコミュニケーションも十分にとれ、スムーズに業務をこなせるようになっていなければならない。そうすると9月、10月は冬の繁忙期に向けての大切な人材育成期間になる。基本的な業務内容やハウスルールへの理解を深めてもらい、忘年会シーズンの戦力になるように育てていきたいものだ。可能であれば、繁忙期に向けたプランやメニューに関しても検討段階から参加してもらい、アイデアを共有したり、彼らからの良案を取り入れることでチーム全体としての結束を高めていきたい。

ちなみに弊社が運営する「求人@飲食店.COM」の傾向をみると、求職者からの応募数は9月から10月にかけて上昇していく。これは秋の転職シーズンにあたることが理由だが、効率的に採用するためにも、今この時期に採用活動を行うのは得策といえるだろう。

■独自性のある「宴会プラン」で集客に繋げる

12月の繁忙期は忘年会などの宴会プランが主流になる。このプラン内容は集客に大きく影響を与えるので、しっかりと検討していきたいものだ。店舗によって差はあると思うが、最も予約が込み合う時期を12月上旬から中旬だと仮定したとき、そのピークを避ける日程だとお得になる、早割りのようなプランを提案すれば混雑のピークを分散させ、より多くの予約を取ることができる。また、主婦層やシニア層といった夜の宴会だと時間の都合がつきにくい客層にむけての日中プランを作るなど、アイデア次第でさまざまな世代にターゲットを広げることができそうだ。

機会損失を防ぐためにも予約対策は万全に!

■トレンドを取り入れた「宴会メニュー」を検討
冬の宴会メニューでメインになるのは鍋が多いのではないだろうか。定番の宴会メニューにも今年らしいトレンドをとりいれて、他の店舗との差別化を図りたいところ。

数年前からブームの兆候があったパクチーは今年が本格的な当たり年。流行のエスニック系鍋料理に、パクチーの食べ放題を取り入れると今年らしさがより際立つ。鍋以外でも、ひそかなブームとなり専門店が増えつつある、B級グルメの定番・焼きそばを締めのメニューに取り入れてみるのも面白い。またドリンクでは、レモンサワーに人気が集まりそう。どの店舗でも提供しているドリンクだけに、オリジナル性を追求してこだわりレモンサワーを提供したい。

宴会メニューとセットになることが多い「飲み放題」も、付加価値をつけることで個性を出すことができる。例えば、日本酒数種が飲み比べできるプランなど、流行を取り入れた飲み放題コースを提案すると良いかもしれない。飲み比べはイベント感もあるので、宴会にもうってつけではないだろうか。

■リスク回避、機会損失の予防を意識した「予約対策」
繁忙期は予約とキャンセルとの動向に神経をすり減らす店舗も多いはず。最近はネットでの予約システムが充実し、利用者側もストレスなく予約を行えるようになってきた。しかし、人数やコースメニューについて細かな確認をしたい場合、「まずは電話で」という利用者が多いのも事実だ。

店舗が夕方以降からの営業の場合、不在にしている時間帯にそういった連絡が一切入らないという保証はない。予約に繋がるかもしれない連絡をつぶさにキャッチできるように、繁忙期には早い時間帯からスタッフを待機させる、または電話転送サービスを利用して、常に携帯電話で受けられるようにしておくと良いだろう。

一方、直前キャンセルなどに対するリスク回避の方法として、予約台帳システムや、Web予約システムを導入し、事前に予約確認のメールなどを送信するのも良いかもしれない。予約キャンセルに関する対策はこちらの記事でも詳しく紹介しているので、合わせて参考にしてほしい。店側のリスクを軽減し、かつお客様側にも利用しやすい予約システムをきちんと確立し、繁忙期に備えたい。

■店内の「席組みや導線を見直す」
宴会客は、個室を希望することが多い。しかし個室の用意がない店舗、または個室数が限られた店舗も多いことだろう。そんなときは、メインフロアの構成を調整して、プライバシーに配慮した空間を作りたい。グループごとの仕切りが出来るような席組みやインテリアの配置、急な人数変更に対応できる空間作りなど、お客様側の居心地の良さを一度見直してみよう。

また、オーダーや配膳など、スタッフ側の導線についても、本格的な忙しさを迎える前にシミュレーションしておきたい。さらに、冬場はコートやマフラー、手袋など、店内での衣類の着脱が多いので、店舗で預かる場合と自己管理の場合とで、トラブル防止のための対策も考えておいたほうが良さそうだ。

忘年会の幹事が店舗を検討し始めるのは、早い人で10月下旬だというデータもある。遅くとも11月には対外的な広報を開始するとしても、新メニューの考案は今すぐにでも着手しなければならないだろう。いざ繁忙期を迎えたときにせっかくの顧客を逃してしまわないよう、必要なタスクを改めて確認し、着実に準備を進めたいものだ。

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イシイミヤ

ライター: イシイミヤ

フリーライター。ファッション誌やカルチャー系のウェブサイトでライフスタイルに関わる記事を執筆。現在はフードカルチャーに焦点を絞り、その最旬事情から老舗の妙味まで多岐にわたり執筆中。週3でアンテナショップに通い、全国の郷土菓子と未知の食材の収集を日課にしている。ビールとコーヒーのトレンドに詳しい。