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若者の「酒離れ」は本当だった! 飲食店はノンアルコール飲料で若者を呼ぶ時代になる?

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若者の酒離れが深刻だ。ワイン情報サイト「バザール」が行った調査によると、20代男性の39.8%が「月に1度もお酒を飲まない」と回答。またこれは女性全体の数値ではあるが、「お酒を飲まない」と回答した女性は47.6%にのぼることがわかった。若者、そして女性にとって酒は縁遠いものになりつつあるようだ。

そんな中で急激に注目を集め出しているのがノンアルコール飲料。各メーカーがこぞって新商品を販売しているほか、ノンアルコールカクテルを提供する飲食店やバーも増加中だ。なぜ今、ノンアルコール飲料がブームになっているのか、その背景、そして実際にどのようなノンアルコール飲料が飲まれているのかを紹介する。

ノンアルコール飲料ができたきっかけ

アルコール分を含まない、アルコールテイストの飲料のことを「ノンアルコール飲料」という。法的にはアルコール分が1%以下なら「ノンアルコール飲料」と呼んでもOKだが、現在、市場において「ノンアルコール飲料」とされている商品は、アルコール分0.05%以下と限定される。0.05%以上1%以下の商品は「低アルコール飲料」と呼ばれているようだ。

ノンアルコール飲料が登場し始めたのは、2003年の道路交通法改正により飲酒運転への罰則が強化された時期。これを機にノンアルコール飲料の需要が高まり、メーカー各社も参入。しかし、アルコール分が1%以下であれば「ノンアルコール飲料」と謳えたために、商品の多くはアルコールを含むものだったという。これではお酒の弱い人、また大量に飲んでしまえば酔ってしまうことになり、本来の目的から反れてしまう。さらに美味しさの点でも受け入れられなく、当時はあまり定着しなかった。

ノンアルコールブームがやってきた背景

2007年の道路交通法改正では、さらに飲酒運転の罰則が厳しくなった。これによりノンアルコール飲料の需要が再度高まり、2009年に発売されたアルコール分0.00%の「キリンフリー」が大ヒット。これに刺激を受けた各社が0.00%に特化した商品を次々と開発し、正真正銘の「ノンアルコール飲料」というジャンルが定着した。

その後、これまではビールテイストのみだったノンアルコール飲料に、カクテル、チューハイ、梅酒などのテイストも加わったこともあり、より多くの人が手に取ることに。ノンアルコール飲料の認知がさらに拡大していった。

ブームの背景となった、ノンアルコール飲料の魅力を一言で言うと、「酔わずにお酒気分が楽しめる」こと。もともとノンアルコール飲料は、ビール代わりに飲用する男性が多かったが、ビール以外のテイストも加わったことで女性にも受け入れられるようになった。結果、ブームが広がっていったと考えられる。

例えば主婦の場合、お酒を飲む機会も減っている中、ノンアルコール飲料ならお酒の席に付き合えると人気に。また、アルコール飲料を積極的に飲まない若者たちは、自宅でノンアルコール飲料を飲み、お酒の気分を楽しんでいるという。このほか、仕事の合間のリフレッシュや、行楽地でもノンアルコール飲料が選ばれるようになってきた。今やビールの代用品ではなく、ひとつのジャンルとして確立されていることがわかる。

どんなノンアルコール飲料がウケているのか?

ノンアルコール飲料も、ただお酒気分を味わうだけでなく、世間の流れに合わせるように健康志向へとシフトしている。各メーカーも「カロリーゼロ」「糖類・糖質ゼロ」などの機能性を大々的に打ち出した商品を展開しており、健康に気遣う消費者からの注目も高まっている。

この流れを受け、飲食店でもノンアルコール飲料がメニューに加えられ始めた。なかには単品メニューに加えるだけでなく、女子会などの需要を踏まえて、ノンアルコール飲料を飲み放題プランの中に取り入れている飲食店もあるほどだ。

飲食店がノンアルコール飲料を提供しはじめたきっかけは、そのほとんどがドライバーやお酒が飲めない客から寄せられた要望を叶えるためだった。実際、提供をはじめてみると売り上げにもつながり、客の満足度も向上した。ある意味、想定外の需要があったということだが、現在ではノンアルコール飲料が集客に役立つと考えている飲食店も少なくない。

人気店『麹町ダイナー』では、ドイツのノンアルコールビール「ハイホップ」や「クラウスターラー」を導入。ビール以外にもノンアルコールカクテルを用意し、オリジナルオーダーにも対応。ランチ・ディナーと一日を通してノンアルコールドリンクを提供している。

また、銀座にある『資生堂パーラー 銀座本店』でもノンアルコールカクテルを提供。巨峰、ラ・フランスなど季節の果物を取り入れたノンアルコールカクテルが女性から高い人気を得ているという。

さらに新宿『アフターテイスト』では、70種以上のフルーツカクテルを全てノンアルコールで作ってもらうことも可能。「キャベツの塩キャラメルカクテル」「玄米のカルーアライスミルク」などネーミングもユニークだ。

ノンアルコール飲料は“定番の飲み物”として、消費者の生活の中に定着し始めている。メーカーは商品バリエーションの追加など、新たな需要の拡大を狙っていくことになるだろう。飲食店としてはメニューに追加するだけでなく、いかに他店と差別化を図っていくかが今後の鍵となっていきそうだ。

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平田佐百合

ライター: 平田佐百合

情報誌の編集者として長くダイニングやホテル、エンターテインメントまで幅広い記事を担当。また中国上海にて、在留邦人向けに現地の勢いある飲食店情報を発信。ミシュランスターシェフのインタビューや飲食店スタッフとの交流から生まれた企画など、トレンドを織り交ぜた記事が得意。