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わずか13坪で月商1,850万円を誇る『鉄板神社』。2倍のスタッフ数で臨む「攻めの商売」の秘密

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サービスの質を高くキープするための教育

料理の提供スピードが求められる土地でもある大阪。フードやドリンクの提供が少しでも遅ければ、客にストレスを少なからず感じさせてしまう。客の満足度を高め、一人ひとりのスタッフがファンを獲得できるような接客をするためには、単純に人数を増やせばいいというわけではない。だからこそ、『鉄板神社』では飲食店としてではなく、人として、商売人として成長するための教育に力を入れている。一体どんな教育をしているのか、田中氏に質問をぶつけてみた。

「『鉄板神社』は人がひとつの“売り”でもありますから、うちで働くスタッフへは、厳しく教育をしています。長く働いてくれるスタッフも多いですが、そうしたスタッフは皆、忍耐力・精神力が高い。特別なことを教えているわけではありません。礼儀や挨拶がしっかりできるか、人情ある人となれるか、商売人として常に笑顔で客に接することができるか。これが一番大切です」

『鉄板神社』の串焼きはさっぱりとした味わいが特徴

繁閑の差をできる限りなくす看板メニュー

『鉄板神社』の看板メニューは大阪のくわ焼きを独自にアレンジした鉄板串焼き。オリーブオイルで焼き上げたさっぱりとした味わいが魅力だ。

「衣をつけて油で揚げる串揚げはやはり胃にもたれるし、毎日は食べられない。その点、オリーブオイルでさっぱりと仕上げたうちの串焼きは、重くないので何度でも食べられる。1本の串焼き単価は200~250円のラインがほとんど。1本1本は安くても、シンプル・イズ・ベストでクオリティの高いものを提供しています。お食事としても楽しんでいただけますし、2軒目でちょっと1杯ひっかける際のつまみとしても最適。夕方から深夜まで、どの時間帯で食べても美味しいと感じられる。それがうちの看板メニューの強みです」

確かに、『鉄板神社』の串焼きは時間帯を問わず楽しめて、かつ老若男女、誰でも楽しめるメニューだ。このことが、時間帯を問わずいつも賑わいを生み出す大きな要因となり、そして幅広い客層を取り込むことにも一役買っている。

幅広い客層を取り込めるメニューを看板とすることのメリットは、じつはとても多い。例えば時間帯や曜日ごとに生じる繁閑の差を解消することもその一つ。「客層のほとんどがビジネスマン」となれば、平日の客足は期待できるが、休日はあまり期待できない。しかし客層や時間帯を問わずに集客できる強いメニューがあれば、こうした問題に悩まされることはない。事実、『鉄板神社』では、金曜夜や週末はもちろん混雑するが、それ以外の時間帯・曜日でもしっかりと集客できているそうだ。

クオリティーを高く保つための経営戦略

トレンドに左右されることのない「人」の魅力を高め、怪物店ともいえるほどの売り上げをたたき出している『鉄板神社』。人材を多く投入するなど「攻めの戦略」についつい目を奪われがちだが、田中氏は自身の経営方針は堅実派だという。

「うちで絶対に譲れないのは、いただいた料金以上のサービスを提供すること。はたから見たら繁盛店としてガンガンと攻めているように見えるかもしれませんが、急激な店舗拡大などは考えていません。むしろ高いクオリティーを維持すること、お客様から永く愛される店であることが一番大切です」

田中氏の言葉通り、『鉄板神社』の出店数は2017年9月時点で6店舗と特別多いわけではない。急激に店舗の規模を広げるのではなく、着実に人材を育て、店舗ごとの質を維持していくことが『鉄板神社』が怪物店たる所以なのかもしれない。

『鉄板神社 本店』
住所/大阪府大阪市中央区宗右衛門町6-2 ジュノン笠屋町ビル1F
電話番号/06-6213-7113
営業時間/17:00~翌8:00
定休日/無休
席数/24席
http://www.teppan-jinjya.com/

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オナイウイコ

ライター: オナイウイコ

農業ビジネス系の立ち上げや産地と飲食店を結ぶ仕事を経てデザイン事務所に転職。現在は独立し活動飲食店などの取材記事を雑誌媒体で執筆中。「食」にまつわる動向や法律関連にも詳しく、プライベートでも旅行先でのグルメめぐりは欠かさない。