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1年先まで予約で埋まる超人気店『肉山』。代表・光山英明氏が考える「繁盛の極意」とは?

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『肉山』オーナーの光山英明さん。背景のポスターは有名漫画家が『肉山』のために描いたものだとか(写真は『肉山の一階』で撮影)

『肉山』という店名は、肉好きなら多くの人がその名を耳にしたことがあるだろう。吉祥寺にある本店は、駅から徒歩10分という立地ながら、予約困難な人気店だ。2018年の予約受付はすでに終了し、キャンセル待ちでしか入れない。さらに名古屋、福岡、沖縄、横浜、千葉などの全国各地に進出し、各地で『肉山』ブームを巻き起こしている。オーナーの光山英明さんは、ホルモン焼肉店『わ』や『肉山』などの直営店以外にも、『日本橋 肉友』や餃子専門店『中野餃子 やまよし』などさまざまな飲食店をプロデュース。その数はなんと60以上にものぼる。今回はそんな「ヒットの仕掛け人」光山さんに飲食店経営の哲学を伺った。

米の炊き方もわからぬまま起業

光山さんが最初に飲食店で働き始めたのは15年前。脱サラし、学生時代から慣れ親しんでいた吉祥寺にホルモン焼肉店の『わ』を開店した。もともとは酒の卸売りをしていたという光山さんだが、なぜ飲食店を始めようと思ったのだろうか。

「僕は中央大学の野球部員で、吉祥寺にはグラウンドと寮があったので、ずっと『このへんで飲食店をやりたいな』と思っていたんです。焼肉店は仕込みの手間が少ないし、最終的に客が調理してくれますよね。極端なことを言ったら、肉屋から肉を仕入れることができれば誰でもできるんです。それで脱サラして4カ月後に店をオープンしたんですよ。設備にダクトが必要とか、ごはんの炊き方も何もわからない状態だったけど、どうにかなるものやね(笑)」

最初は調理や接客の技術がないため、飲食店のアルバイトで経験を積もうと考えていた光山さんだが、面接でことごとく不採用になったため「自分でやったる」と決意したらしい。メニューは、大阪では当たり前だが東京では珍しかった牛ホルモンを一皿500円で提供、お酒も一杯500円という良心的な価格設定に。他店では一杯2000円するような『伊佐美』や『魔王』といったハイグレードな焼酎も500円で楽しめることが評判となり、酒好きが集まる店として話題となっていった。

「自分を店に縛りつける」という目的で始めた『肉山』

『わ』の開店から10年目にオープンした『肉山』は、赤身肉ブームの先がけのような存在で、SNSを中心に「肉山に“登山”する」という言葉を作り出すほど人気を呼んだ。開店から5年で全国に多店舗展開しているが、最初から計算済みだったのだろうか?

「何も計算してないよ(笑)。よく『なんであんなに人気なの?』って聞かれるけど、よくわからんのよね。こういうことを言うと他の飲食店の人に怒られるかもしれないけど、『肉山』はほとんど遊びで始めたんです。『わ』のオープンから9年目くらいは、あまり現場に入らないで、付き合いと称して毎日飲み歩いていたんだよね。そうするとお金もかかるし、自分をもう一回店にしばりつけるために、新しい店を出そうと思ったんです。飲食店はどうしても飽きられる部分があるから、『わ』から離れたお客さんにも、もう一回戻ってもらおうっていう気持ちもありました。『ホルモン焼きはお客さんが焼いてくれるけど、今度は自分が肉を焼いて出そう。焼き台で肉一枚焼いてもしょうがないから、塊で焼いて出したらどうかな』と考えました。霜降り肉はそんなにたくさん食べられないから、赤身肉を炭火で焼いてカットして、お客さんは食べるだけのコースにしたんですね」

光山さんが考えたのは「肉から始まり肉で終わる」コース。メニューは税込み5400円の「お任せコース」のみ。熊本産のあか牛、岩手県産の短角牛など、極上の赤身肉のあらゆる部位を堪能することができる。焼き台で焼かれた肉が次々と食卓に運ばれるのだが、そのボリュームたるやまさに「肉の山」。塊を焼くだけでなく、パテにしたり、ソーセージにしたり、調理のバリエーションも豊富だ。箸休めにキムチや焼き野菜がつき、締めにはカレーか卵かけごはんが選べる。飲み放題をつけても1万円というコストパフォーマンスの高さで、人気が出るのも納得である。

肉は塊で焼いてカットして提供

「最初は知り合いを6人集めて、『こんな感じでやろうと思っているんだけど』って話したんです。そしたら『これは流行りますよ!』『すごいコンセプトですね』ってめちゃくちゃ褒められました。コンセプトも何も自分をしばりつけるために始めた店だし、客は一日6人でええわって思ってた(笑)。家賃11万でめちゃくちゃ安いし、自分1人でやっていたから人件費はいらないし。当時は肉も安かったから一日6万円売上げがあればいいやと思って、テーブル席は荷物置きにしていたんですね(笑)。そしたら思いのほか反響が大きくて、『コッチの席も空いているなら入れてよ』というオファーが多かったのでどんどん客席が増えていったんです。最初のころの『肉山』を知っている人が今来たら『昔と全然違う』ってびっくりすると思うよ」

『肉山』は「中身勝負」と決めているので、原価率は45~50%とかなり高い。しかも、光山さんのこだわりで、食材やお酒にかかる代金は決して価格交渉せず、定価で仕入れている。それでも1年先まで予約で埋まっている状態なので、集客にお金をかける必要がない。常連客や知り合いに声をかけてスタッフを雇うため、求人広告も15年間出したことがないそうだ。急なキャンセルが出たとしても、空席情報をSNSに出すと数分で埋まるため、食材ロスもほぼない。資金を集中させて勝負するところと、そうでないところのメリハリがはっきりしているため、高付加価値のコース料理を提供できているようだ。

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三原明日香

About 三原明日香

これまでに、百貨店の会報誌や、フリーペーパー、グルメ冊子、地域の経済新聞などで取材記事を執筆。社会保険労務士や年金アドバイザーの資格を持ち、人事労務の分野にも詳しい。趣味は都内のカフェめぐりで、とくにチョコレートには目がない。