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6割以上が「食べきれない料理を持ち帰りたい」と回答。飲食店がやるべき食品ロス削減対策

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Photo by iStock.com/EXTREME-PHOTOGRAPHER

年間300万トンにも及ぶといわれる外食産業における食品ロス。近年、世界的にも食品ロスをなくそうという意識が高まり、日本でも食品ロスをなくすためにさまざまな取り組みがスタートしている。外食産業における食品ロスの主な発生要因は、6割程度が「顧客の食べ残し」。食べ残しを削減するために、飲食店としてはどんなことができるだろうか。

「ホットペッパーグルメ」などのメディアを運営する株式会社リクルートライフスタイルが、「外食で食べきれなかった料理の持ち帰り」について、首都圏・関西圏・東海圏在住の20〜69歳の男女を対象にアンケート調査を実施。その結果を発表した。まずは食べ残しに対する消費者側の意識を見てみよう。

食べきれない料理、2/3以上の人が「持ち帰りたい」と回答

実際に注文したメニューが食べ切れないケースはどの程度発生しているのか聞いてみたところ、直近1年間で58.7%の人が「料理を食べきれなかったことがあった」と回答。男性より女性の方が食べきれないケースが多く、特に20〜40代女性では6割以上の人が直面している。

・直近1年間の外食で料理を食べきれなかった経験の有無(全体/単一回答)※「ホットペッパーグルメ外食総研」調べ

「料理を食べきれなかったことがあった」と回答した人に対し「持ち帰り意向の有無」を聞くと、67.8%とおよそ2/3以上の人が食べきれなかった料理を「持ち帰りたい」と感じていた。やや女性の方が持ち帰り意向が高く、特に40〜60代女性では7割以上の人が食べきれなかった料理を持ち帰りたいとの意向があった。

■直近1年間の外食で食べきれなかった料理の持ち帰り意向の有無(直近1年間に外食で料理を食べきれなかったことがあった人/単一回答)※「ホットペッパーグルメ外食総研」調べ

「持ち帰りできる飲食店なのか分からない」ことがネックに

「料理を食べきれなかったことがあった」と回答した人に、その際に「実際に料理の持ち帰りを行ったか」を聞いたところ、「実際に持ち帰った」と回答したのは35.4%と持ち帰り意向者の約半数にとどまっている。それはなぜなのだろうか?

外食で食べ切れなかった料理を持ち帰ることに対して感じるハードルについて聞いてみると、「持ち帰りできる飲食店なのか分からない」という回答が51.8%と最も多く、特に20~50代女性でおよそ6割と多かった。また、「持ち帰りたかったが、持ち帰らなかった」と回答した人の中でも、この「持ち帰りできる飲食店なのかわからない」という回答が64.9%に及んでいる。

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食品ロスを減らすために飲食店ができること

外食で食べきれなかった料理の持ち帰りについての賛否を聞いてみると、「賛成」「どちらかといえば賛成」と回答した人はなんと87.6%に達する。こうした客に対して、飲食店ができる取り組みはどのようなものがあるだろうか。

まずは、持ち帰りが可能な場合、そのことをわかりやすくメニュー表に記したり、店員によるアナウンスを行うことなどが挙げられるだろう。持ち帰り文化が進んでいる欧米のようにドギーバッグも用意しておくといいだろう。その場合、密閉性の高い持ち帰り容器にして、利用者に対して持ち帰りの煩わしさを少しでも減らすようにしたい。

また、そもそも食べ残しが発生しないよう、小盛りや小分けメニューを取り入れることも効果的だ。料理の提供方法でも、刺身のつまなどの飾りつけの量を抑制したり、無駄な作り置きが発生しないよう、注文後に調理するフローに変更したりといった対策が考えられる。

最近では、フードシェアリングと呼ばれる仕組みで、「TABETE」や「Reduce Go」といった新しいWebサービスも注目されている。どちらも作りすぎた料理を売りたい飲食店と、安く料理を買いたい利用者のマッチングを図ることができる。こうした新しいサービスを活用するのも手だ。

食品ロスは外食業界にとって大きな課題だとされている。膨大な量の食材廃棄を少しでも減らすためには、一つひとつの店舗が意識を持って取り組んでいくことが大切だ。まずは、料理の量が適切かどうかを調べるなど、試しやすい対策から取り組んでみてはいかがだろうか。

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西尾悠希

ライター: 西尾悠希

これまでグルメ系情報誌やカフェのムック本、グルメ系サイトなど、飲食系メディアに数多く編集やライティングで携わる。料理が趣味で、フードアナリストやフードコーディネーターの資格も取得。お酒を飲むのも好きで、休日には三軒茶屋や学芸大学の飲食店をよく開拓している。