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老舗飲食店が「来客予測システム」で業務効率化。『ゑびや大食堂』のデータ活用術とは?

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ゑびや大食堂店内。地元客や観光客で日々賑わっている

テクノロジーがどんどん進化している今、IT技術を導入する飲食店もかなり増えてきた。キャッシュレスやロボットでのサービスなどさまざまな手法が見られる中、老舗の伝統を守りつつ、新技術「来客予測システム」の導入で話題を呼んでいるのが『ゑびや大食堂』だ。三重県伊勢市に店を構え、創業100年を超える食堂ながら、新たな技術の導入に積極的な姿勢を見せている。今回は実際に勤務しているスタッフの秋吉しのぶさんに話を伺い、「来客予測システム」の仕組みや取り入れてからの変化、今後の展開や課題などを聞かせていただいた。

的中率は9割! 400項目以上の「データ活用」で来客を予測するシステム

1912年『伊勢ゑびや大食堂』として創業した『ゑびや大食堂』。地元の人々に親しまれているのはもちろんのこと、伊勢海老やあわび、松阪牛などの三重の特産品を使った料理を提供しており、観光客にも人気が高い。老舗の名店としても評価の高い同店だが、近年は別の面からも注目を集めている。それが、IT技術を取り入れた経営スタイルだ。

『ゑびや大食堂』を経営する有限会社ゑびやは、これまで多くの新技術に挑戦してきた。鮮魚を新鮮なまま保存・運搬するための保存方法「エクストラチルド」の開発や、IoTを活用した決済・オーダーシステムなど、どれも革新的なものばかりだ。なかでも飲食業界に大きな影響を与えつつあるのが「来客予測システム」。さまざまなデータを分析することでお客がどれくらい来るかを予測し、それに応じて業務を行うシステムだ。

技術の仕組みを伺うと、実に400項目近いデータを分析し、予測を行っていることがわかった。これらの相関関係を細かく分析し、どれが来客に影響しうるのかを判断して解析しているのだそうだ。

「例えば過去の売上、曜日や気象などの一般的な情報などはもちろんのこと、近隣の宿泊者数などのデータも分析に活かしています。当店では店頭に画像解析AIを設置しているため、そこから通行量や入店率、男女比率なども把握することができます」

近隣の宿泊者数は観光予報プラットフォームのオープンデータを活用するなど、自店以外の情報も参考にしている。この徹底的な取り組みが功を奏し、来客予測の的中率はなんと約9割。このおかげで、実に多くの面で「業務の効率化」が可能になったという。

例えば料理提供時間の大幅な短縮、無駄な仕入れの回避、ロスの削減など、さまざまな点でメリットが見られたそうだ。飲食店経営では長年の経験や勘で客足を予測することがよくあるが、感覚ではなくデータで科学的に考えることが現在の効率的な業務に繋がっている。

ゑびや大食堂の入り口

ITを活用するからこそ、「人にしかできないこと」に集中できる

来客予測システムの導入は、代表取締役を務める小田島春樹氏の提案によるもの。「従業員も生産者もお客様も、皆がハッピーになれるサービス業」を目指す理念から、IT技術を取り入れた経営手法を積極的に行っている。

理念の通り、この手法は業務効率化だけでなくお客・従業員の満足度にも大きな影響を生み出している。その一つが、「おもてなしの品質の向上」だ。従業員の精神的な余裕を生み、サービスの質を高めることができていると秋吉さんが教えてくれた。

「時間別の来客予測をすることで、店舗間での人員配置の最適化が可能になります。だからこそ、店員が忙しく走り回ることがなくなりますし、余裕を持って接客をすることができます。例えば、着物を着て接客をしたり、ご予約の方や外国の方へ折り紙のプレゼントをしたりといった『人にしかできない』サービスを積極的に取り入れられるようになりました」

さらに無駄な作業をカットすることで、従業員は週休2日制(就業時間は9:00~17:45までの残業なし)、通常の有給休暇とは別に、9~15日の特別有給休暇取得を実現できているなど、働き方にも好影響をもたらしている。これはどれも、IT技術に任せられることは任せ、そのうえで自分たちにしかできないことに注力した結果といえるだろう。

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竹野愛理

About 竹野愛理

食と文学を愛するライター。飲食店取材、食に関するコラム、書評を執筆のほか、食関連のメディアや書籍にて編集者としても従事。趣味は読書と散歩。本を片手に旅行したり食べ歩きをしたりすることが好き。