プラスチックストロー廃止、飲食各社の状況は? 木製、ステンレス製など代替品も登場

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プラスチックごみによる海洋汚染が世界的な問題となっている。5月10日にスイス・ジュネーブで開かれた、有害廃棄物の輸出入を制限する「バーゼル条約」の締約国会議において、汚れた廃プラスチックが輸出入の規制対象に加えられることが決定。今後、廃プラスチックを輸出する際には相手国の承認が必要となる。
なぜ、汚れたプラスチックごみが輸出禁止に?
プラスチックごみについては、2015年に鼻にプラスチックストローが刺さったウミガメが発見され、動画や画像がSNSで拡散されたことから、深刻な問題として広く認知されるようになった。
経済産業省によると、日本は年間で約900万トンの廃プラスチックを排出しており、うち約150万トンを海外へ輸出している。今回リサイクルに向かない汚れたプラスチックゴミの輸出入を規制対象とする条約改正案が採択されたことにより、今後は輸出が難しくなるだろう。

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飲食店ではプラスチックストロー廃止の動き
『スターバックス』や『マクドナルド』の活動はご存知の方も多いだろうが、最近はいろんな飲食店でプラスチックストローが廃止され始めている。
■デニーズ
ファミリーレストラン『デニーズ』では、店内にドリンクバーコーナーがある全店舗を対象にプラスチックストローの設置を中止。使用を希望する客には、植物由来素材「PLA」を使ったストローを提供している。
■大戸屋
定食チェーン『大戸屋ごはん処』では、直営店全146店舗でプラスチックストローを撤去。希望する客には個別で提供するが、代替品は置かずグラスから直接飲んでもらっている。
■リンガーハット
外食チェーン大手のリンガーハットでは、長崎ちゃんぽん店の『リンガーハット』や、とんかつ店の『とんかつ浜かつ』など、グループの国内全780店舗でプラスチックストローの提供を廃止。ストローを必要とする客には紙製のストローを提供している。
■グローバルダイニング
エスニックレストラン『モンスーンカフェ』、イタリアンレストラン『カフェ ラ・ボエム』など、国内外に51店舗を展開するグローバルダイニングでは、国内の全店舗でプラスチックストローの使用を廃止。とうもろこしが原料の植物由来の生分解性ストローを導入した。

アキュラホームが開発した木製ストロー「AQURAS」
プラスチックストローの代替品
プスチックストローの代替品として最も多く導入されているのが紙製のストロー。急増する需要に対し、生産が追いついていないメーカーもあるようだ。紙以外にも、さまざま材質の代替品が開発されている。
■ステンレス製ストロー
強度が高く、潰れたり錆びたりしないので長く使うことができる。また、洗って何度も使うことができるので、ごみが出ない。洗いづらさが気になるところだが、ストローと洗浄用の細いブラシがセットで販売されているものもある。
■生分解性ストロー
とうもろこしやサトウキビ、イモ類などを原料とした植物由来のストロー。焼却しても有害物質が発生しない。
■木製ストロー
木造住宅メーカーの「アキュラホーム」が、間伐材など国産材を利用した木製ストローを開発。間伐材を薄くスライスし、斜めに巻きあげたもので、長時間飲料につけてもふやけないのが特徴。気になる香りは、無臭にすることが可能で、逆に香りを残すこともできるという。
ほかにも、ライ麦や大麦、海藻を原料にした、口に入れても安心なストローも登場している。
今回の条約改正を受けて、人々の環境問題への関心はさらに高まるだろう。プラスチック製品の使用を控える飲食店も一気に増えそうだ。
