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最低賃金引き上げ、45%の飲食店が賃上げを予定。高騰する人件費に経営者のホンネは?

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画像素材:PIXTA

10月より最低賃金(時給)が改定され、東京では1013円、神奈川では1011円と全国で初めて1000円を超える。そこで「飲食店リサーチ」では、飲食店経営者にアンケートを実施。賃上げの有無や人件費に関する考えなどを聞いた。

■調査概要
調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:377名
調査期間: 2019年8月20日~8月28日
調査方法:インターネット調査
※詳しい調査結果はこちら

時給1000円以上の飲食店は63.9%

まず、現状のアルバイトスタッフの平均時給を調査した。22時以前の勤務時間の平均時給で最も多かったのは「1001~1100円」で38.7%。次いで「901~1000円」が27.6%で、ここには2019年9月現在の東京都の最低賃金額985円が含まれる。

時給1000円以上の飲食店は63.9%

続いて、売上に対する人件費の割合(人件費率)について聞くと、「20%以下」が24.1%、「21~25%」が16.4%、「26~30%」が19.4%という結果が得られた。「飲食店の人件費は売上の30%が目安」と言われているが、30%に収まっている店は6割ほどであった。

人件費率が売上の30%以内に収まっている店舗は全体の約6割

45.4%の飲食店が賃上げを予定

最低賃金の改定に合わせて給与の賃上げをするかについては、45.4%が「賃上げを予定している」と回答。しかし、「正直、賃上げは辛いです。人材確保するだけでも大変なのに」(神奈川県/専門料理)、「福利厚生も考えると、人件費の負担が大きくなり過ぎです。中小企業では賃上げをしたくでもできない状況にあり、気持ちと現実のギャップが大きいです」(神奈川県/中華料理)と本音を漏らす経営者もいた。

45.4%の飲食店が賃上げを予定している

さらに、人件費に対する考え方を聞いたところ、「投資と考えている」が28.9%だったのに対し、「費用として考えている」は66%と2倍以上だった。

投資派は、「自身の育て方で大きな売上を作ってくれる可能性があるため、投資と考えてほかよりは少し高めに払っている」(兵庫県/居酒屋・ダイニングバー)、「店の運営はどれだけ優秀な人材を育てるかにあると考え、投資と位置付けています」(兵庫県/フランス料理)と、前向きな考え。

一方、費用派は、「人材を育てたい(投資)と考えているが、実際のところ育ちきる前に辞めてしまうケースが多いため、実質は“必要経費”になってしまっている」(愛知県/イタリア料理)、「この業界は店舗を移ることによるスキルアップもあるので定着は難しく、投資とは考えづらい。必要な費用と考えている」(東京都/フランス料理)との声。投資として考えたいが、実際はそうもいかない厳しい現状であることが明らかになった。

人件費を「費用」としてとらえている店舗がやはり多いようだ

最低賃金は今後も上がり続けることが予想されるが、何の対策もしなければ、人件費率が大きくなり過ぎて経営が圧迫される恐れがある。安易に人件費を削減すればスタッフの士気は下がるだろう。業務プロセスを見直すことで無駄をなくし、生産性を向上させることを目指したい。

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上條真由美

ライター: 上條真由美

長野県安曇野市出身。ファッション誌・テレビ情報誌の編集者、求人ライターを経て独立。インタビューしたり執筆したり、平日の昼間にゴロゴロしたりしている。肉食・ビール党・猫背。カフェと落語が好き。