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飲食店の人手不足を救う「リファラル採用」。3つのメリットと、トラブルを回避するための注意点

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画像素材:PIXTA

飲食業界に限らず、日本国内ではどの業種でも人材不足が問題になっている。そんな中、近年注目されているのが「リファラル採用」という採用方法だ。リファラル採用の特徴やメリット、社内で推進するためのポイントを紹介する。

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そもそも「リファラル採用」とは?

リファラル採用とは、その会社や仕事のことを十分に理解している社員を通じて、人材を紹介してもらう採用方法のこと。より企業に適した人材を採用できるなどのメリットから、欧米では重要な採用手法の一つとされている。

日本でも、家族や親族、知人を紹介する「縁故採用」という文化は古くからある。しかし、企業の求めている適正やスキルに欠けていても、立場上採用せざるを得ない場合に、いわゆる「コネ」という形で採用する縁故採用も少なくなかった。「縁故採用=コネ採用」というネガティブな印象が根付いてしまったことから若干敬遠されてはいたようだが、近年ではリファラル採用の価値が再認識され、取り入れる企業も増えているようだ。

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リファラル採用がもたらす3つのメリット

採用が難しい要因には、労働人口の減少による人材不足や、企業と人材のマッチングの難しさなどがある。リファラル採用が注目される背景には、これらの問題を解決するであろう以下のメリットが挙げられる。

■企業と人材のマッチングの質が高まる
企業に人材を紹介する社員は、当然ながら会社や仕事のことを熟知しており、求人情報には出てこない会社の風土なども理解している。また求職者の人となりやスキルなどもある程度把握しているからこそ、業務への適性も当然考慮する。こうしたところから、必然的にマッチングの質は高くなる。

■採用コストを削減できる
求人情報誌や求人サイト、転職エージェンシーなどを利用して求人を行う場合、掲載料や手数料などに一定のコストがかかる。リファラル採用では、掲載料や手数料などが発生しないため、コストを大幅に抑えることが可能。さらに、採用までにかかる時間や、面接の回数も削減でき、人的なコストを減らすこともできる。

■働きやすい労働環境が作れる
新しい職場では分からないことも多く不安が付きまとうが、リファラル採用では、知人や仲間がいるという安心感が生まれる。分からないことが聞きやすい、社内の風土が共有できる、という点からモチベーションの向上や離職率の低下にもつながる。

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リファラル採用で、従業員同士が深い絆で結ばれた活気あふれる店へ

リファラル採用で雇用したスタッフが働き始めてからしばらくは、採用者と紹介者と一緒のシフトにする、紹介者が仕事を教えられるようなスタッフ配置にするといった工夫が必要だ。そうすることで、単なる仕事のパートナーという意識だけではなく、より強固な仲間意識を育みやすくなる。何より明るい声が飛び交い、従業員が楽しそうに働いている店には、自然と客足も増えることだろう。リファラル採用がもたらす最大のメリットは、「飲食店としての魅力的な雰囲気が生まれやすいこと」といってもよさそうだ。

一方で、知人や友人が社内にいることは、デメリットにもなってしまう可能性も。例えば、知人同士でグループを作ってしまい業務に支障をきたす、紹介者が退職する際に一緒になって退職してしまう、ということも起こり得るからだ。その場合は紹介者や採用者だけでなく、店舗全体の人間関係にも悪影響を及ぼしかねない。リファラル採用は、採用して終わりではなく、採用後の環境作りも重要と言えるだろう。

リファラル採用を円滑に実行するには?

リファラル採用を行うためには、社員の協力が必要不可欠。日頃から社員への周知を行うだけでなく、ミスマッチを減らすためにも、どのような人材やスキルを求めているかを理解してもらう必要がある。また、リファラル採用による紹介者への報酬や、どのような流れで採用を行うのかなど、具体的な社内制度を整える必要も。ほかにも、紹介した求職者が不採用だった際は、紹介者が気まずくならないようなフォローを行うことも大切だ。

リファラル採用は、紹介者と採用者の人間関係によって質の高いマッチングを実現し、そこから魅力的な店作りへと発展させていくことが期待できる。飲食店こそ社員の力を有効に使い、雰囲気の良い店作りに活かしていこう。

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熊本憲一

ライター: 熊本憲一

出版社時代に、グルメガイドやレシピ本などの取材・編集を多数経験。フリーランスとして独立後は、撮影も行う取材ライター、編集者・Webディレクターとして活動中。現在は、企業の広報やPR、コンテンツディレクションを行うほか、自身も飲食店での調理・接客経験あり。