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カフェチェーン『セガフレード』の“喫煙目的店”。コロナ禍で大きな反響

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2つの専用室を備えている(晴海トリトンスクエア店)

加熱式たばこ専用室に加え、紙巻きも吸えるエリアを設けた店舗も

例えば、オフィス・商業施設・住居棟からなる「晴海トリトンスクエア(東京・中央区)」内の店舗では、禁煙エリアと喫煙エリアを煙が漏れ出さないよう完全に仕切り、喫煙エリア内でも、新ルールで飲食が可能になった「加熱式たばこ専用喫煙室」と、飲食はできないが紙巻きたばこが吸える「喫煙専用室」とをきっちり分けている。

同店舗も訪れてみたが、トリトンスクエア館内で喫煙できる場所がないこともあり、朝や昼のピークタイムに関係なく喫煙可能エリアは常に客で賑わい、喫煙専用室前には順番待ちの列まで出来ていた。

「お客さんの中には飲食をせずに喫煙だけして帰っていく人もいるので、貼り紙等で注意喚起している」(前出・服部氏)と、店側が困惑する事態も起きているが、それだけたばこが吸えるスペースが少なくなり、“喫煙所難民”が増えている証拠だろう。

手前が加熱式専用室。ガラスの仕切りの向こうが紙巻きも吸える喫煙専用室となっている(晴海トリトンスクエア店)

売上回復は喫煙可能な店舗のほうが順調

店内の喫煙スペースの有無については、店の売上にも直接響いているようだ。セガフレード・ザネッティ・ジャパンによれば、折からのコロナ・ショックで4月、5月は休業する店舗が大半だったというが、休業明けの6月以降の売上は徐々に回復傾向にある。

特に全面喫煙が可能な「喫煙目的店」5店の売上は、対前年同月比で71~100%まで戻っており、依然コロナ禍が続いていることを考えると、むしろ好調だといえる。全面禁煙にした店では同36~39%しか売上が回復していないことを見ても、やはり喫煙目的の客が多く来店していることが窺える。

「喫煙できる店舗すべての売上が回復したわけではありませんが、これまで常連のお客さんからは“スモーカー・フレンドリー”という店舗イメージを持たれていましたので、4月以降も喫煙可能な店舗を残したことが奏功したのだと思います。喫煙可能店舗では、『禁煙にならなくて良かった』というお客さんの安堵の声が多数聞かれたようです。このコロナ禍がなければ、もっと好調だったかもしれません」(前出・服部氏)

また、加熱式たばこのみが吸える店(加熱式たばこ専用喫煙室あり)よりも、ブース(喫煙専用室)であっても紙巻きたばこが吸える店のほうが売上が良かったという。再び6月の対前年同月比の売上を見てみると、“加熱のみ”店が48~62%だったのに対し、“紙巻き可能”店が74~96%と客足の戻りが速いことが分かる。近年、加熱式たばこのユーザーは飛躍的に伸びているものの、いまだに喫煙者の多くが紙巻きたばこを嗜んでいることも窺わせるデータだ。

広尾店では、テラス席を喫煙可能エリアにしている

いずれにせよ、コロナ禍の真っ只中に義務づけられた喫煙環境の新ルールによって、愛煙家はますます肩身が狭い思いを強いられている。このまま屋内禁煙化の流れが進めば、喫煙所難民は増える一方だ。

「セガフレード発祥の本国イタリアでも屋内禁煙は当たり前になっていますが、その代わり若い人たちが路上や道端でスパスパとたばこを吸っている姿をよく見かけます。その点、日本は屋外でも屋内でも決められた場所で吸うマナーの良い喫煙者は多い。もともとたばことコーヒーは相性のいい関係ですし、我々のようなカフェチェーンは気軽に立ち寄ってリフレッシュできる場所でもあります。そのため、今後も店の喫煙・禁煙環境はお客さんが自由に選べるスタイルを続けていけたらと思っています」(前出・服部氏)

セガフレードが踏み切った「喫煙目的店」の導入は、顧客第一主義を追求した結果でもあるのだ。

撮影/内海裕之

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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