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withコロナ時代の外食の“兆し”は「イエナカ外食」。リクルートが「コレカラ会議」開催

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左からホットペッパービューティーアカデミー・アカデミー長の千葉智之氏、ホットペッパーグルメ外食総研・上席研究員の稲垣昌宏氏、司会進行を務めたリクルート経営コンピタンス研究所の岩下直司氏

3月18日、リクルート主催のオンラインセミナー「コレカラ会議」が開催された。第5回目となる今回のテーマは、「飲食・美容領域から見るwithコロナ時代の店舗と顧客のエンゲージメントの変化」。ホットペッパーグルメ外食総研・上席研究員の稲垣昌宏氏、ホットペッパービューティーアカデミー・アカデミー長の千葉智之氏が登壇し、飲食領域、美容領域のコロナ禍における変化を解説した。今回は特に飲食領域の発表内容について紹介する。

【注目記事】コロナ禍で消費者に求められる飲食店とは? ホットペッパーグルメ外食総研が発表

発表はオンラインで行われた

飲食領域の“兆し”は「イエナカ外食」

コロナ禍で急速に世の中が変化する中、「新しい価値の創造」「まだ、ここにない、出会い。」などをキーワードに創業から続く求人情報サービスをはじめ、人々が自分らしい生活や人生を送るためのサービスを展開してきたリクルートグループが、“より良い未来につなげる兆し”の発信を目的とし開催した「コレカラ会議」。

2020年からスタートし、「学校と職場」「人生のライフイベントにおける意思決定」「働くと住む」など、さまざまな領域を横断したテーマで発表を行ってきた。そんななか、今回は飲食領域・美容領域を取り上げ、コロナ禍の顧客ニーズや店舗の変化について、調査発表・クロストークなどが行われた。

飲食領域の調査や事例を発表したのは、ホットペッパーグルメ外食総研上席研究員の稲垣氏。稲垣氏によると、飲食領域のこれからのトレンドキーワードは、外食店舗の価値を家で楽しむ「イエナカ外食」だという。

「消費者はこれまで、ちょっと贅沢なご飯を食べたい場合に外食、家では内食か中食と、使い分けることが一般的でした。しかしコロナ禍では外食が難しい分、在宅でもちょっと贅沢なご飯を食べたいというニーズが増加。飲食店もまた、コロナ前はイートインが主体で、中食は補完的な意味合いが強い印象がありましたが、今は売上の柱になっている店舗も。テクノロジーの進歩で店と同じ味を中食でも提供できるようになり、消費者は店の味を家でも楽しめるようになってきています。

コロナ前後で外食・中食に対する意識が変化している

2020年度上半期の市場状況を見てみると、外食は売上・回数ともほぼ半減しているが、中食市場は売上が+21.2%、利用回数が+13.4%と好調。単価も、外食は飲酒が減った影響が大きく-147円だが、中食は+54円という結果となった。

2020年度上半期の市場状況

売上、利用回数、単価ともに増加傾向にある中食の中でも、特に伸びているのが「飲食店からのテイクアウト」だと稲垣氏は語る。

「中食のなかでも飲食店からのテイクアウトは伸びが顕著です。例えば、中食の夕食における平均単価は832円ですが、飲食店からテイクアウトする場合のみの単価を見てみると、1,708円と倍以上に高くなっている。ここが伸びていることで、市場の中食の単価が上がっていると考えられます」

「飲食店からのテイクアウト」の夕食単価がかなり高くなっていることがわかる

高単価かつ家で食べられる商品のニーズが増加

消費者調査では、消費者の中食利用への考え方が大きく変化していることがわかった。コロナ禍の中食利用に対して「これまで家では食べられなかった、外食ならではのメニューが家で食べられるようになった」と感じている人は40.2%、「飲食店からのテイクアウト、デリバリー、ミールキットの利用が増えた」人が31.0%、「これまで使ったことがなかった飲食店からのテイクアウト、デリバリー、ミールキットを利用した」人が29.9%という結果になった。

消費者の中食利用への考え方が大きく変化している

さらに、コロナ禍が収まった後を想定した場合も、「たまには贅沢な食事を、と思ったときにイートイン(お店で食べる)とテイクアウト、デリバリー、ミールキット等の使い分けをしたい」という回答が51.2%、「これまで家では食べられなかった、外食ならではのメニューをイートイン(お店で食べる)とテイクアウト、デリバリー、ミールキット等の使い分けをしたい」という回答も50.8%に上った。

コロナ禍が収まった後も「おうち外食」を望む声は多い

この結果を振り返り、稲垣氏は次のようにコメントした。

「アフターコロナの食事スタイルは、コロナ前の状況に若干戻ることが予想されます。しかし、コロナ禍の今と変わらず、店舗での食事とテイクアウトやデリバリーを使い分けたいと考える人も多い。つまり、高単価の食事を家で食べる市場は、一定程度定着して新しい市場になるのではないかと考えます」

コロナ前までは少なかった「高単価の中食」が新たな市場として定着すると予想されている

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竹野愛理

ライター: 竹野愛理

食と文学を愛するライター。飲食店取材、食に関するコラム、書評を執筆のほか、食関連のメディアや書籍にて編集者としても従事。趣味は読書と散歩。本を片手に旅行したり食べ歩きをしたりすることが好き。