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withコロナ時代の外食の“兆し”は「イエナカ外食」。リクルートが「コレカラ会議」開催

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満足度の高い中食を提供する人気店の事例

家でも店の味を楽しみたいと考える消費者が増える中、飲食店はどのような動きを見せているのだろうか。実例として先端的な取り組みを行っている店舗もいくつか紹介された。

例えば、神戸のイタリア料理店『チッチャ』は、ミールキットを販売し、その調理法をYouTubeで紹介。イートインで好評だった「季節のパスタ」をミールキット化し、ソースのラベルにQRコードを貼って、調理動画に簡単にアクセスできるようにしているという。また、YouTube以外にもインスタグラムやZoomを活用し、客と積極的にコミュニケーションを取っているそうだ。

『チッチャ』のミールキットセット

また、代々木上原のリストランテ『Quindi(クインディ)』はワインを100mlの小瓶に小分けして販売するサービスをスタート。「一本買っても全部飲み切れない」「料理に合わせて赤と白をそれぞれ楽しみたい」といった客のニーズにきめ細かく対応している。ほかにも、同店は「レストランを通じて生産者のことを知ってもらいたい」という思いがあるため、コロナ禍ではワイナリーのバーチャルツアーを行っているとのこと。

『クインディ』が販売している100mlの小瓶に入ったワイン

さらに、『SHIBUYA PREMIUM DELIVERY』は、渋谷にある5店舗をまたいで料理を注文・配達できるサービスを行っている。「デリバリーの新しい使い方」だと、稲垣氏は語る。

「ここでは、お父さんは焼鳥、子どもはピザ、みたいなフードコート的な使い方ができます。お店を横断するため、利益配分をどうするかなど難しい面もあったそうですが、話し合って乗り越えたことで店舗間での一体感が生まれたといいます。また、新しい挑戦を続けることで各店の従業員のモチベーションも高められていると聞いています」

一方、人気店『蒙古タンメン 中本』は、テイクアウトでも楽しめるよう特注の伸びづらい麺を開発。加えて麺とスープをセパレートの容器にし、茹麺と生麺を客自身で選べるようにしたことで、家で店に近い味を再現できるように工夫しているという。

コロナ前から根強い人気を誇る『蒙古タンメン 中本』。家でも店の味を食べられるサービスは、客にとっても嬉しいだろう

コロナ禍で狙いたいニーズは「ファミリー向け」

最後の質疑応答では、「コロナ禍で厳しい状況が続く中、成功している業態にはどんな特徴があるか?」という質問が飛び出した。これに対し、稲垣氏は「個別では『マクドナルド』や『KFC』、業態ではファストフード、ファミレス、回転ずし、焼肉は比較的被害が少ない印象」と具体的な店舗や業態を答えつつ、これらに共通している強みを述べた。

「先に挙げた店舗や業態にどんな特徴があるかというと、まず、飲酒主体ではなくて食事が主体であること。そして宴会用・接待用メニューでなく、ファミリー用メニューが充実していることもポイントです。コロナで一番変わったのが、じつは“食べる相手”。一人で食べる、家族で食べる機会が増え、仕事先の人と食べる機会は激減しています。特に、週末の家族のニーズに応える食事を手掛けているところは調子が良いんじゃないかなと思います」

質疑応答に答える稲垣氏

コロナ禍はまだ続くと予想されているが、収まった後も、飲食店が行ってきた中食の取り組みは決して無駄にならない。変化する消費者の需要に目を向けつつ、各店ができる取り組みを続けていくことが大切だといえそうだ。

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竹野愛理

ライター: 竹野愛理

食と文学を愛するライター。飲食店取材、食に関するコラム、書評を執筆のほか、食関連のメディアや書籍にて編集者としても従事。趣味は読書と散歩。本を片手に旅行したり食べ歩きをしたりすることが好き。