飲食店のプラ製フォークなども有料化へ。「プラスチック資源循環促進法」が成立

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6月4日、プラスチックごみの削減やリサイクルを促す「プラスチック資源循環促進法」が参院本会議で可決、成立した。施行されるのは、2022年4月から。新法成立の背景には、海洋プラスチックごみ問題、気候変動問題、諸外国の廃棄物輸入規制強化などへの対応をきっかけとした、国内におけるプラスチック資源循環への意識の高まりがある。
同法案は、プラスチック使用製品の設計から廃棄物処理までのライフサイクル全般で、あらゆる主体(自治体や事業者、個人など)におけるプラスチック資源循環の取り組みを促進することを目的としており、事業者によるプラごみ排出などを抑制する意図も盛り込まれている。
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テイクアウト用のプラ製カトラリーも有料化の対象に。従わない場合は罰則も
飲食店に対しては、無料配布しているプラスチック製の使い捨てフォークやスプーンを有料化もしくは紙製や木製のものへ変更するよう求める。対策を取らない店舗には政府が改善を勧告・命令。従わない場合は50万円以下の罰金を科すという。
本法律案の概要は以下の通り。
(1)プラスチック使用製品設計指針
製造事業者などが努めるべき、環境に配慮した設計に関する指針を策定するとともに、その指針に適合した設計であることを主務大臣が認定する仕組みを設ける。国は認定されたプラスチック使用製品の調達や使用を促進する。
(2)特定プラスチック使用製品の使用の合理化
特定プラスチック使用製品(商品販売やサービスの提供に付随して消費者に無償で提供されるプラスチック使用製品)の提供事業者(小売店や飲食店など)がプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制にかかる判断の基準を策定し、使用の合理化(プラ製スプーンやストローなどの削減、代替素材への切り替えなど)を求める措置を講じる。

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(3)市町村の分別収集・再商品化
容器包装再商品化法の仕組みを活用したプラスチック使用製品廃棄物の再商品化などにより、市町村及び再商品化事業者による効率的な再商品化を可能とする仕組みを導入する。これにより、ペットボトルや食品トレー以外のプラ製品の分別収集も促進する。
(4)製造・販売事業者などによる自主回収及び再資源化
自ら製造・販売したプラスチック使用製品が使用済みとなったものについて、製造事業者などの自主回収・再資源化事業計画を国が認定することで廃棄物処理法の規定による許可を受けずに再資源化を実施できる仕組みを構築する。
(5)排出事業者の排出抑制及び再資源化など
排出事業者が排出の抑制や再資源化などの促進のために取り組むべき判断基準を策定するとともに、排出事業者などの再資源化事業計画を国が認定することで廃棄物処理法の規定による許可を受けずに再資源化を実施できる仕組みを構築する。
今後は設計の段階からプラスチック使用料の削減を求め、消費者がリサイクルしやすい製品を選びやすいよう、国が認定した製品にはロゴマークを付けることも検討しているという。
詳細は経済産業省ホームページを参照。
国内のプラスチックごみの排出量は年間およそ900万トン。レジ袋の有料化に続き、政府はプラスチック製のストローやカトラリーの使用削減を義務付けることで、さらにプラごみの削減を推進するとしているが、飲食店は業績が厳しいなかで対応に追われることになりそうだ。
